「次の一手」~選択肢を持つということ~

先日、家族旅行で熱海にいきました。
熱海を訪れるのは今回で2回目。
前回は観光の予定を詰め込みすぎて、ゆっくりと街の景観を眺める余裕がありませんでした。
今回は時間にゆとりを持たせ、山の上から街を見渡したり、初島へ渡って海側からの街並みを
眺めて見たりして、前回とは違った角度からの熱海を楽しむことができました。

初島からゆっくり景色を眺めていると、
「よくこれだけの急斜面に、ホテルや住宅、道路を造ったものだな」と、思いました。
山の斜面に沿って建ち並ぶ建物や、複雑に入り組んだ道。昔の熱海の写真を調べてみても、
今の街並みになるまでに長い年月をかけて皆で積み上げていった過去を感じる事ができました。

ふと、この地で数年前に発生した大規模な土石流災害を思い出しました。
山の地形を眺めながら、あの急勾配を大量の土砂が流れ落ちてきたことを想像すると、
自然の力の恐ろしさを感じずにはいられませんでした。

「もし今、あの場所で大きな地震が起きたら、自分は家族を守るために何ができるだろうか」
津波が発生すれば高台へ避難する。しかし、その高台も地震によって地滑りなどの被害を
受けるかもしれない。

では、別の避難経路はあるのか。
今いる場所から安全に移動するためには、何を優先すべきなのか。

もちろん、すべての事態を想定することは不可能ですが、
それでも、何も考えずにその時を迎えるのと、複数の可能性を想定しておくのとでは、
瞬時に取れる行動が大きく変わるのではないでしょうか。

そして、この考え方は、私たちの仕事やキャリアの選択にも通じるものがあると思いました。
私たちは日々、さまざまな選択をしながら生きています。
目標を達成するためには、この方法やこの手法を試してみよう。
この仕事はこの対応で進めていこう。というように日々、複数の思考と選択をしています。
キャリアで考えた際に、転機を前にして複数の選択肢を柔軟に持つことができるでしょうか。

「次の会社にいく」
「今の仕事を続けるほうがいいかもしれない」
「自分の経験では、この業界でしか働けないのでは」
「この年齢から新しい挑戦は難しい」

意外にも、自分一人でキャリアを柔軟に考えることは難しいと思います。
今、考えている選択肢がすべての選択肢と考えてしまうのではないでしょうか。

私は人材紹介の仕事を通じて、多くの方のキャリアの転機に関わっています。
目の前の課題を解決するための一手だけではなく、二手、三手先を考えてお話をしています。
それは、その方の可能性や深層心理を引き出すために、
「自分にはできない」と決めつけていたことに、あえて目を向けていただき、
これまで自分が無意識に引いていた線を越えてみる。
そうすることで、これまで見えていなかった可能性が生まれることもあります。

大切なのは、自分の未来を感覚的に浮かぶ選択肢だけに委ねないこと。
変化が起きてから考え始めるのではなく、変化が起きる前から考えておくこと。

準備をしていたからといって、すべての困難を乗り越えられる訳ではありません。
それでも準備をした上で誰かと話をすることで見つけられる道があり、踏み出せる一歩があるはずです。

「考えることをやめない」
「選択肢を一つで終わらせない」
「その先の一手を準備しておく」

キャリアコンサルタントとして、目の前の選択を支援するだけでなく、
その方がまだ気づいていない可能性や、将来の選択肢を一緒に考えられる存在でありたい。
そんなことを、熱海の海と山を眺めながら感じた旅でした。

タイトルとURLをコピーしました