余談

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温故知新

企業の大切な採用に関わる倫理憲章で定められた解禁日である10月1日は、恒例行事といえる内定式がある。採用に関わる職業柄、内定式に対しては、長年、思うことが多々あり、疑問が年々深まっているため、今回は、あえて大胆な提言をしてみたい。実際、「内定式」なるものの意義や有効性、大学生の修学軽視といったところへの"理詰め"な疑問と、組織の形式主義や窮屈さを感じる"感性的"な引っ掛かりや反発心を持っている。内定式の意義は「新卒一括採用」や「モチベーション向上」、「会社の代表訓示」、「新卒の同期とのコミュニケーション」などが挙げられると思う。しかし、「内定証書」授与と承諾書提出が主な目的なら、本人に渡す証明をしてくれる簡易書留で十分ではないか。学生の他社との「二重内定」防止のためだけの設営なら、社長や関係取締役もこの日のために準備と当日の拘束があり、ホテル予約などもあり、そのコストに見合うほど重要なものか。内定者は、入社する頃には、半年前の代表の話を、大半はメモしたことすら忘れているのが正直なところだろう。会社の前例踏襲主義のカルチャーや社内アピールだけの場になっていないか。「業務改善」を提言しても...
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結婚観

日を追うごとに薄れていくのは、当初抱いていた結婚に対するイメージである。入籍前と現在では、結婚に対する考え方が180度異なる。元来、日本の婚姻制度は「お見合い」が一般的であり、恋愛の末の婚姻というのは稀な現象である。このお見合いであるが、一体何を見合うのか。一概には申し上げられないが、いわゆる「覚悟」や「人生観のすり合わせ」などであろう。人生の一大イベントであり、赤の他人と一生涯伴にすることを約束する相手を選ぶというものであるから、ただ単に好き嫌いでできるものでもなかろうというのが本来のお見合いの意味合いなんでしょう。最近ではお見合いで結婚している人は少なく、恋愛の末に結婚ということが主流となっている。結局好き嫌いで、人生の生殺与奪を決めてしまうことが一般的になってきたのです。ということは元より結婚観というのは希薄になってしまっているのではないかと思います。では一体何を見据えて結婚するのか、何を期待するのか、何を望むのか。これらが結婚観と言えるのではないかと思う。これらの考えはむしろ結婚してから、より深く考えるようになった。現実を見て、堅実な路線で考える。だから結婚前に考えていた無謀と...
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死生観

前回書いたことと直接の関係はないが、このような二分法は、例えば死生観にも適用できると思う。元気よく生きてぱたっと死ぬのが幸せなのか、それとも、例えば癌の宣告をされて、ゆっくりと近づいてくる死を受け入れて死ぬのが幸せなのか、どちらを幸せと感じるか、ということだ。死生観とはある意味で、数ある価値観の指標の中で究極のものであるため、このような質問は、その人が本当に何を大事にしているかを理解する上で有効である。さすがに、このような質問を、弊社の面談の場ですることは少ないが、聞かずとも、転職者様がどちらのタイプの方なのか見極めることも必要である。その方が何を大事になさっているか深く理解しないと、本当に役立つキャリアカウンセリングはできないというのが弊社の考えだからだ。ところで、先ほどの死生観に関して、両者の考えには、共通するところがある。例えば、「よりよく生きたい」という思いだ。このように、相反する二つのものを統合することを、哲学用語でアウフヘーベンというらしい。止揚(しよう、独: aufheben、アウフヘーベン)は、ドイツの哲学者であるヘーゲルが弁証法の中で提唱した概念。揚棄(ようき)ともい...
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アポトーシス

「ものごとにはいつも相反する二つの性質がある」と考えると折り合いがつく。というのが、弊社代表の口癖のひとつである。それを弊社ではアポトーシスと言う。「アポトーシス」を考えて!などと言う言葉が社内を飛び交う。アポトーシス (apoptosis) とは、多細胞生物の体を構成する細胞の死に方の一種で、個体をより良い状態に保つために積極的に引き起こされる、管理・調節された細胞の自殺すなわちプログラムされた細胞死のこと。アポトーシスという用語の本来の使い方ではないと思うが、人類全体を一つの個体として捉え、人間一人ひとりを細胞として考えると、人類が生き残るために、人間一人ひとりはいずれ死ぬ運命にあるという見方もできる。この死すべき定めの中で生きるか、死すべき定めに逆らって生きるか、という相反する二つの性質の顕著な例として、芸術と経営があると思う。前者は芸術である。ゴッホとその作品は生前、評価されなかった。しかし、ゴッホの絵の価値は不変で、ゴッホの死後、非常に評価された。作品が生き残り続けるという点で、ゴッホも語り継がれる。人の死すべき定めの中で生きるもの。といえるかもしれない。芸術と対照的なのが、...