未分類 変化
今年のノーベル文学賞は、日本出身のイギリス人作家、カズオ・イシグロが受賞して話題になった。ノーベル文学賞というと、川端康成や大江健三郎のように、いわゆる重鎮という感じの作家をイメージするが、イシグロは、丸首のTシャツにジャケットという格好で気さくにインタビューに応じ、非常に親しみやすい人という印象があった。ノーベル文学賞といえば、昨年は、シンガーソングライターのボブ・ディランが受賞した。彼も、「権威」というイメージからは程遠い。むしろ、体制に対して異議を唱える人で、そもそも小説家ではなく歌手だ。受賞者の顔ぶれから、時代の変化を感じる。イシグロとディランの共通点を考えてみると、二人とも、自分の作風を変化させ続けている。イシグロは、デビュー作で、自身の出身地である日本を登場させているが、その後、映画化された代表作の一つでは、日本的なモノは姿を見せず、古き良きイギリスを舞台に小説を書いている。また、その後、映画化された別の作品では、近未来の世界の小説を書いている。既に成功したのに、大きく作風を変えることが恐くないのだろうか? とも思うが、本人にとっては、昔の自分にしがみついて、変わらないこと...