ルール化 新たなるスタート
「パパのお仕事って何屋さん?」眉間にシワを寄せながらネクタイを何度か締め直している私に幼稚園の制服に着替え終わった娘が突然聞いてくる。社名を言えば誰もが知っているであろう企業だが、相手が子供だけにこう言った。「ん~◯◯屋さん」目も合わせずにさらっと私。「ふぅ~ん」と顰めっ面の彼女。だが、彼女の目を見ながら笑顔で言えない自分がいた。この子が大きく育っているのもこの会社のお陰なのに。何故だろう。考えてみるとやはり誇りを持って仕事をしている人間とそうでない人間とでは内に秘めているものがまるで違う。私は、当時、後者だったのかも知れない。仕事という労働契約に伴い、求められる数字の要求にも応えてきたし、実績も積んできた。作り笑顔でお客様に接していたのかも知れない。ふと、車のバックミラーに映る顔を見た時、曇った表情の自分に照れ笑いしてしまった。娘の目を見て笑顔で言えないのもそう言うところからくるのだろう。本当は物心つく前から彼女に言いたかった。「パパは◯◯の仕事してるんだぞ」って。「すごいだろって」。誇らしげにでもそうは言えなかった。世の中には自分のやりたい仕事が出来ている人はどれくらい存在するだろ...