ルール化

真髄は調和にあり

度々父の話で恐縮だが、将棋が趣味の父に、囲碁の相手をしてもらった。父は、将棋に比べると、囲碁の経験は、あまりない。それでも、将棋同様、ハンデをつけてもらっても、また、負けてしまった。対局後、父が、ふと感想を漏らした。「おまえは、俺の石を攻めているとき、『攻めた結果、地合い(=陣地)を得よう』というのではなく、本気で俺の石を取ろうとしているよなあ」どきっとした。囲碁をほとんど打ったことがないのに、本質を突いたことを言うのは、将棋を極めたからだと思う。実際、二十世紀を代表する天才囲碁棋士・呉清源先生は、「囲碁の真髄は調和にあり」と考えている。「勝負事なのに、調和? そんな甘っちょろいことを言っていていいのか?」私は、最初そう思った。しかし、呉清源先生は言う。「碁は調和の姿だと、私は考えます。碁は、争いや勝負と言うよりも、調和だと思います。」「碁の勝負は普通の勝負とちょっとちがうと、私は思います。そこには人為的なものが少なく、ほとんど自然の現象というべきで、自然の現象を、ただ勝負と名づけただけではないでしょうか。」何か、悟ったような、仙人の言葉のようだ。言い換えると、「勝負事の真髄は、譲り合...
ルール化

まことの花

皆様のお引き立てのおかげで、いろいろ受賞させていただいたおかげか、最近は弊社にも、お取引が初めての有名企業様から「人材を探しているのですが……」と電話がかかってくるようになった。創業まもない頃を思えば、隔世の感がある(といってもまだ1年半だが)。しかし、能を大成した世阿弥の『風姿花伝』を何気なくめくっていたら、自分の思いを代弁してくれているようなことが書いてあったので、思いを新たにする意味で、引用したい。「新人であることの珍しさ、つまりその時だけの「時分(じぶん)の花」による人気を本当の人気と思い込むのは、「まことの花」(芸の真実の面白さ)には程遠い。そんなものはすぐに消えてしまうのに、それに気付かないことほど、おろかなことはない。そういう時こそ、初心を忘れず、稽古に励まなければならない。」何事も基本と初心が大事ということなのだろう。なお、この後、こんなことが書いてあり、焦りを感じた。「上手になるのは、34~35歳までである。40を過ぎれば、ただ落ちていくのみである。」能とは違うかもしれないが、もうすぐ34~35歳を迎える身としては、危機感を覚える言葉である。「初心を忘れず、稽古に励ま...
ルール化

争点の違い

先日、帰郷のとき、将棋が趣味の父にまた一局手合わせしてもらった。12月7日のブログで書いたことだが、以前対局後の感想戦のとき、「おまえはここで二筋の歩を突いて負けたが、一筋に歩を垂らせば勝っていた」と言われたことがある。今回似た局面になったので、今度は一筋に歩を垂らしてみた。確かに、以前の対局より私が有利な形勢になった模様だ。(私からすると)複雑な局面になり、読み切れなかったので、思いきって指してみた。その後父の口からぼそっと出た言葉は、かすかに芽生えた私の淡い希望を、根こそぎ奪った。「それだと君は勝てない……。」指してみると、確かに負けてしまった。一か所をめぐって争う局面になっていたのだが、先手と後手の戦力差を数えてみると、私は違う箇所で争わないといけなかった。違う場所を争点にしていれば、勝てたようなのだ。今回の教訓は、事前に読み切れる場合は、見切り発車で進めてはならないということ。争点の違いによって、勝敗が決まりうること。仕事にも生かせるので勉強にはなるが、駒落ちでも父に勝てるのは、相当先のことになりそうだ。
出来事

盲目

昨年の原発事故で出た放射線に対する反応は人それぞれであった。海外逃亡する人、とりあえず西に逃げた人、窓を閉めてマスクをした人、何もせず放射線を吸い込んだ人。また、福島産の野菜を選んで買う人、なんとなく東北関東産の野菜を買わない人、九州から野菜を取り寄せる人・・。さて、皆さんは何をもって自らの行動を決断しただろう?ある若者が言った。「東大の有名な先生が放射線は大丈夫だってツイートしてたから大丈夫ですよ」。だが後日、世間が放射線に対し懸念を示し出すと同時に、彼も食べ物に気をつかい始めた。地震予知の件では、「ツイートで●月●日に地震が来るって噂になってるから心配です」とのこと。彼は、判断の基準が、〈噂〉や〈有名な先生〉なのである。・・はて???大多数がYesと言うから、学歴のある先生がYesというからYesなのである。彼には自分の判断基準がない、と言っていい。情報が多くなると同時に、自らの目で判断すべき事柄が増えてきている。ネットであまたの情報が流れ、隣の人と同じ情報を共有しているということはもはやなくなった。これまで、他の人と同じであればいい、和、が大事である、みんなで仲良くしよう。そんな...
出来事

叫び

先日、バスの運転手を刺した少年がいた。「同級生に馬鹿にされてくそっ、と思った」という理由だそうだ。社会の中に埋もれている、学校や会社といったある一定集団の中にいる自分に歪んだ形で、叫びを上げてしまったのではないだろうか?他の人の目や考え方、流行に主眼を置いて行動している人がいかに多いことか。百貨店に行けば、ほぼ同じデザインの中からアクセサリーを選び、ある人気の色や流行の形の服の中から自分?の服を選ぶことになる。その「流行」は、雑誌という「お手本」を見て勉強する。自分らしくあるために、でも実は、自分でなくなるために。中学までが義務教育でその先は自由であるはずである。しかし、ほとんどの家庭が息子・娘を高校、そして良い大学へ入れることを考える。偏差値という定規で測り、上を目指すというレールを引き、ひたすら、機関車を走らせる。会社に入っても同じである。同期よりいくら早く昇進できるか、出世するか。日本人は、そうしてレールに乗ることに、慣れている。果たして、心からそのレールに乗れている人はどれだけいるだろう。繊細な人、正直な人はその不自然さに気付くのではないか。個の区別ない人間が、灰色の制服を身に...
余談

結婚観

日を追うごとに薄れていくのは、当初抱いていた結婚に対するイメージである。入籍前と現在では、結婚に対する考え方が180度異なる。元来、日本の婚姻制度は「お見合い」が一般的であり、恋愛の末の婚姻というのは稀な現象である。このお見合いであるが、一体何を見合うのか。一概には申し上げられないが、いわゆる「覚悟」や「人生観のすり合わせ」などであろう。人生の一大イベントであり、赤の他人と一生涯伴にすることを約束する相手を選ぶというものであるから、ただ単に好き嫌いでできるものでもなかろうというのが本来のお見合いの意味合いなんでしょう。最近ではお見合いで結婚している人は少なく、恋愛の末に結婚ということが主流となっている。結局好き嫌いで、人生の生殺与奪を決めてしまうことが一般的になってきたのです。ということは元より結婚観というのは希薄になってしまっているのではないかと思います。では一体何を見据えて結婚するのか、何を期待するのか、何を望むのか。これらが結婚観と言えるのではないかと思う。これらの考えはむしろ結婚してから、より深く考えるようになった。現実を見て、堅実な路線で考える。だから結婚前に考えていた無謀と...
ルール化

マネージメント力とは

既に通説になっている「35歳以上はマネージメント経験を問われる」ということだが、最近では、部下を率いるポジションでなくとも、35歳以上でなくとも、30歳を過ぎた人には「マネージメント力」を見ている傾向にあるのをご存じだろうか。例えば、「役員面接までは行くけれども、いつも最終面接で落ちてしまう。何でなんでしょうか?」という相談を受けることが最近多い。心当たりがある方は、面接でマネージメント力に欠けていると思われている可能性が高い。部下がいて数値管理をしてきた、ということだけではマネージメント力をアピールするには力不足。では、どのような点を表現することで、マネージメント力についてアピールできるか。そして、どのような点を意識することで、部下がいなくてもマネージメント力を身につけることが出来るか。私の考えではあるが、マネージメント力とは、「会社全体を見渡せる力・動かせる力」だと考えている。直訳の通り、「経営する力」があるか。いかに「経営者(社長)の目線」を持っているか、ということ。自分に与えられた役割を果たすだけではなく、よりよい会社にするために考え、自ら動くという意識を持ち、実践してきたかど...
ルール化

贅沢というのは

弊社の隣駅に、立派な建物が出来ました。所要があり、その近くに行く際外観を見てきました。どうもバブリーな雰囲気を醸し出す建物です。一つ疑問なのですが、この建物は誰かに必要とされた外装・内装なのでしょうか。何が言いたいかというと、一言「無駄ではないかと」。もっというと、この無駄の産物を生みだすために「無駄な労力」があるのではないか。昨今の雇用状況から考えて、無駄であろうと何であろうと働き口が増えるのはいいことではないか、そんなこと言ってたら就業人口の何割が無駄な労働になっているのだ。という声が聞こえてきそうです。労働というのは、誰かに必要とされているから存在意義があるのではないか。単に労働量を増やすための「無駄作業」に何の意味があるのか。この建物、はっきり言うと「建設サイドの自己満足」でしかないのではないか。ただ、このような建物を生みだすところを見ると、日本経済はバブル時代に戻るべきと考えている人がまだまだ沢山いるような気がしてならない。あの頃はよかった、楽しかった、という言葉をよく聞きます。そりゃそうでしょ、一時期のお祭り騒ぎですからね。お祭りは、いずれ終わります。むしろ終わった後の夢の...
ルール化

今、求められているモノ

そろそろロンドン五輪です、2か月ほどで開催されます。前回の五輪前と今回の五輪前で、少し違和感を覚えているのは何だろうと考えていました。2か月ぐらい前となると、「テレビの買い替え」を提案してくる商戦ムードでしたね。今回は、実に感じない。家電量販店に行ってもテレビブースは意気消沈です。肝心のテレビCMはどうかというと、さほど流れていない。というよりもほぼやってないのではないか。それどころか、米ディスプレイサーチの予測では、2012年のテレビ出荷台数は、前年の半分近くという見通しです。今やすっかり日陰者です。多くの家庭でテレビを見ない時間帯が増えているようです。では家族が居間にいる時、何をやっているのでしょうか。どうやら、パソコンや携帯電話で動画を見ているようです。テレビ離れとなると家族の団らんにも影響が出てくるのです。家庭内でも核化が進んでいくということになると、ますますテレビのニーズは下がりそうです。生活スタイルも大きく変わりました、家庭内では共働きが「普通」になってしまい、家族が揃うのは遅い時間帯になってしまうのでしょう。そこから夕飯だのお風呂だのと寝る準備をすると、テレビをみんなでの...
キャリアについて

“人生死ぬまでのひまつぶし”

何か物事を考える上で、常に決断を迫られる瞬間、瞬間というものが連続しているように思う。モノの考え方として、どんな出来事でも仕事でも、本道たる道に沿って考えるようにしている。そのために、外してはならない筋は何かをまず考える習慣を持つようにしている。その実践で結論を出すことが少し早くなったような気がする。何かに取り組むとき、最初に“今回の筋って?”と思いを巡らせるようにしている。単純な私は、ひとつだけを考えるようにしています。『関わる全ての人にとって幸せなことなのか!?』を俯瞰から見ることである。その最優先事項を明確にした上で、進めることにしている。その筋に沿って判断する。ダメはダメ良いは良いシンプルにそれだけを考えるようにしている。自分自身をも俯瞰から見て判断し、第三者目線で現実を見据えて判断するのである。その決断を誰かに伝えるときの表現には工夫をし、時間もかけるのだが、問題が起こったり、何かにぶつかった時、時間をかけて難しく考えるほど外れていくもので、時間が勿体ないと感じる。それならば、その時間で気の合う仲間達と色んなことを話したり、何かをしたりして楽しむ方が、限りある時間を有効に使え...
ルール化

本当のサービス

顧客のことを真に考えたサービスとは、何だろう?最近、自分の営業スタイルを見直す出来事があった。私は2010年7月から、某社のスマートフォンを利用している。契約しているキャリアでは初めて製造されたスマートフォンだ。当時2年契約を前提の下に購入したのだが、5月に前倒しで機種変更ができ、さらにキャッシュバックもあるというお得なクーポン券が送られてきた。どうやら初代スマートフォン購入者限定のサービスらしい。利用中のスマートフォンはOSが古く、新しいアプリには対応していなかったり、動作が重いなど、不便さを感じていた。そろそろ変え時だと思い、クーポン片手に某社のショップへ行った。番号札を手に取り、順番を待つ。発売中の機種を眺めながら、変えるならこれだなぁなどとぼんやり考えていると、自分の番号が呼ばれた。カウンターへ行き、クーポン券を見せながら事情を説明した。また、この夏に新機種が出る情報もキャッチしていたので、念のため現在発売中の機種との違いも聞いた。すると、店員のお兄さんは「もし新機種が気になるなら、夏モデルが出るまで待ったほうが良い」と言い切った。ITに疎い私にはよく分からなかったが、最新OS...
ルール化

即決即断

弊社は外資系企業様の案件が多く、私は社内翻訳を担当している。英語を日本語に翻訳するにあたって、時に、適切な表現が何なのか頭を抱えることがある。取引先で、驚くべきスピードで翻訳をこなされることで有名な方がおられるので、秘訣を尋ねてみた。「私も、以前は職人気質というか、考えこんでしまう方だったんです。下手の横好きで将棋を指すんですが、名人の言葉に出会ったのは、そんなときでした。『長考というのは、多くの場合、考えているのではなく悩んでるだけだ』。それ以来、自分の身の丈を知るというか、長く考えても同じだな、ということは、スパッ、スパッと決めるようにしてきました。『下手の考え休むに似たり』だったんですね。長く考えることもまれにありますが、それは、『考えると良い成果に結びつく』と判断したときだけです。求められる質を時間内に満たすことを心がけ、こりすぎないようにしています。時間をかけようと思えばいくらでもかけられる作業なので、作業部分を細切れにして、ストップウォッチを使い、各部分が決めた時間内に終わるよう心掛けています。エンジニアだったこともあって、各プロセスを圧縮というか最小化するのが楽しいんです...
ルール化

Raison D’être(存在理由)

コアでは、クライアント企業様について、とことん考える勉強会を週1回行っている。最終的には、クライアント企業様の課題などをお伺いして、組織活性や事業推進に当たってどんな人材をご紹介するのが一番望ましいのか等を話し合うのだが、最初の打ち合わせでは、その企業様の存在意義について話し合う。単純なことなのだが、どんな事業をされていらっしゃるか、強みは何か、弱みは何か、競合との差別化は何か、そして社会から必要とされている理由を考える。人から必要とされ続けるには理由がある。それこそが、その会社の存在意義である。即ち、強みであり、差別化されたものなのだ。例えば、一見、似た商品群を持っている2社の日用品メーカーでも、1つは人々の暮らしに変化をもたらすことがそもそものコンセプトである会社と、もう一方は、気がつけばいつでも身近にある商品づくりをコンセプトとしている会社があったりする。結局店頭に並ぶ商品は似た展開となっている可能性はあるが、そのコンセプトや会社の求める姿によって、売り方や商品自体も変わってくるのである。すると、同じ量販店向けの営業経験を持つ候補者でも、その企業のコンセプトにあった売り方や提案の...
キャリアについて

万年筆

父からもらった万年筆、どうも書きっぷりが悪い。そこで伊東屋へ万年筆を探しに行ってみた。さて、どう選ぶか。デザイン、質感、レア物・・いろいろな基準がある。ぱっと見て、親指の付け根のところに重心があるものが気に入った。万年筆の重みを感じながら、ペン先はさらさら滑るようになっている。この重みも、万年筆と寄り添っているようでたまらない。そうか、重みの位置が合うもので選んでみよう。そして、同じメーカーの別のデザインのものを手にとってみた。しかし、こちらは自分の手にそぐわず、重心の位置がより後方にきて、万年筆に操られているような感覚に陥った。 うん、手の大きさに合うものを探そう。店員さんに、別のメーカーで自分の手のサイズに合うものを何点か出してもらう。これは、ぴたっとくる。さて、問題の書きっぷりはどうか。滑るように、英語で自分の名前を書いてみる。素晴らしい書き心地である。滞ることなく、紙面に流線を残してゆく。ほぼその万年筆に決めかけていた時、ふと、「美しい日本の風景」という文句が目に入り、自分もきれいに文字を書いてみようと、筆を滑らせた。・・あれ??何か、おかしい。固い。漢字がうまく書けないのだ。...
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料理

道理、条理、摂理、合理、義理、原理、定理・・「理(ことわり)」という語の使われている単語はいくつかある。その中で、先日NHKのプロフェッショナルで放送されていたのが「料理」である。「理(ことわり)を料(はか)ること」その素材の本質をあぶり出し、よりそのものらしく提供するため、ものすごく努力をしている。 一番印象に残ったのが、鮎の塩焼きだ。口を大きく開けて焼くことで過剰な湿度を調整し、内臓部分に一刺しすることで香りが引き立つようにしている。また、まるで川底で泳いでいるかのように見せるためであろうか、ヒレの部分を立たせて焼き、実際に皿の上に立たせ、その力強い泳ぎを表現しているかのように見えた。 うちの家内は、食材とその組み合わせ、その日の湿度や気温、私の体調によって、使用する塩を変えて料理している。アンデス、ハワイ、沖縄、小笠原、伊勢、ガンダーラ、イタリア、カナダ、南極・・と、10種類以上のも塩を使いこなしている。その合わせ方にも必然的な「理」があるのだという。長年料理をしていると、直感的に必要な塩に手が伸びるという。従って、料理中は本気で、なかなか近づけるものではない。  我々の存在価値...
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温故知新

東大で、サンスクリット語の初回講義に300人を超える学生が押し寄せ、大騒ぎになったそうだ。「Web R25」から下記引用する。「4月10日の午後1時から2時ごろ、東京大学教養学部で1、2年生を対象としたサンスクリット語の講義が行われ、その出席者が多かったという理由で、「サンスクリット」というワードが、ツイッターの東京エリアでトレンドに表示される珍事が起きた。」ヒンドゥー教や仏教で用いられる古典インド語なので、例年参加者数は一ケタ。今回の騒動は、単位が取りやすいという噂が理由のようだ。しかし、本当にそれだけで300人も集まるものなのか。新入生の求める「優」評価と単位取得には、極度に複雑な文法の暗記と、半年間の全出席が必要だが、東大生といえど、よほどの精神力がないと勤まらないそうだ。不確かな時代に、いつの時代も通用する考え方、日本人の源流をなす考え方を東大生は求めたのではないだろうか。上村勝彦・風間喜代三著『サンスクリット語・その形と心』(三省堂)のまえがきより、下記引用する。「仏教が日本人のものの考え方に大きな影響を与えたということは否定できないことである。そして,日本仏教の理解には,じ...
ルール化

携帯電話盗難騒動事件

嘘のような話を最近経験した。職場で段ボールのゴミを出すときに、誤ってその上に個人携帯を置いてしまった。3分ほどして気づいて戻ると、段ボールはそこになかった。携帯電話もなくなっていた。GPSと連携した「iPhoneを探す」という機能を初めて使うと、私の携帯電話が職場PCの地図上で動いていた。携帯電話は、職場から数km離れた、弊社社員が普段行かないところをうろうろしていた。不法業者が持ち去ったものと思われる。すかさず上司が声をかけてくれた。「タクシーに乗り、携帯電話を追いかけるんだ。自分はここで、職場から君の会社携帯に電話をかけてナビゲーションする」。GPSは1分ごとに更新されるので、場所にどうしても誤差が出る。「駒沢通りを直進!」とか「そこの交差点を右折!」とか「今来た道を戻って!」とか、ナビゲーションを電話で受け、幾度か行ったり来たりを繰り返しながら、対象物の近くまでたどりついた。しかし、不法業者の姿が見当たらない。タクシーを降りて、右往左往しながら歩いて探すと、結局職場の近くに戻ってきてしまった。iPhoneが地図上で全く動かなくなったが、不法業者らしき人の姿も、携帯電話も見つからな...
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本物のサービスとは

柔らかい日差しとパステルカラーが合う季節になったので、イメージチェンジをすべく美容院に行って来た。かれこれ10年以上も同じ人に担当してもらっている。同い年だから、お互い社会人となった頃からの付き合いだ。今や彼は店長となり、美容学校出たての20歳前後のスタッフを育て、店舗経営をする責任者となっており、そろそろ自分のお店も持つことも視野に入れているようだ。今日は店長さんの話をしたいわけでないのだが、彼のマネージメントにおける、こだわりの1つに、「若手は褒めない」というのがあるらしい。彼らは「頑張って当然」なんだと言う。誤解ないように追記しておくと、3年目以上の中堅は褒めることもあるそうだが、世の中、コーチングやら褒めて伸ばす傾向にある中、ある意味新鮮だった。そして大きな方向性は伝えるものの、具体的にそのために何をすべきかを、「自分で考えること」をルールにしているそうだ。その結果なのか、そのお店は、「とても気がきく」スタッフが多い。お客さんを楽しくさせたり、居心地良くさせたり、各々が思うサービスの提供を心がけているのだと感じることが出来る。一辺倒なマニュアルには無い爽やかな対応で、満足した気...
余談

死生観

前回書いたことと直接の関係はないが、このような二分法は、例えば死生観にも適用できると思う。元気よく生きてぱたっと死ぬのが幸せなのか、それとも、例えば癌の宣告をされて、ゆっくりと近づいてくる死を受け入れて死ぬのが幸せなのか、どちらを幸せと感じるか、ということだ。死生観とはある意味で、数ある価値観の指標の中で究極のものであるため、このような質問は、その人が本当に何を大事にしているかを理解する上で有効である。さすがに、このような質問を、弊社の面談の場ですることは少ないが、聞かずとも、転職者様がどちらのタイプの方なのか見極めることも必要である。その方が何を大事になさっているか深く理解しないと、本当に役立つキャリアカウンセリングはできないというのが弊社の考えだからだ。ところで、先ほどの死生観に関して、両者の考えには、共通するところがある。例えば、「よりよく生きたい」という思いだ。このように、相反する二つのものを統合することを、哲学用語でアウフヘーベンというらしい。止揚(しよう、独: aufheben、アウフヘーベン)は、ドイツの哲学者であるヘーゲルが弁証法の中で提唱した概念。揚棄(ようき)ともい...
余談

アポトーシス

「ものごとにはいつも相反する二つの性質がある」と考えると折り合いがつく。というのが、弊社代表の口癖のひとつである。それを弊社ではアポトーシスと言う。「アポトーシス」を考えて!などと言う言葉が社内を飛び交う。アポトーシス (apoptosis) とは、多細胞生物の体を構成する細胞の死に方の一種で、個体をより良い状態に保つために積極的に引き起こされる、管理・調節された細胞の自殺すなわちプログラムされた細胞死のこと。アポトーシスという用語の本来の使い方ではないと思うが、人類全体を一つの個体として捉え、人間一人ひとりを細胞として考えると、人類が生き残るために、人間一人ひとりはいずれ死ぬ運命にあるという見方もできる。この死すべき定めの中で生きるか、死すべき定めに逆らって生きるか、という相反する二つの性質の顕著な例として、芸術と経営があると思う。前者は芸術である。ゴッホとその作品は生前、評価されなかった。しかし、ゴッホの絵の価値は不変で、ゴッホの死後、非常に評価された。作品が生き残り続けるという点で、ゴッホも語り継がれる。人の死すべき定めの中で生きるもの。といえるかもしれない。芸術と対照的なのが、...
感動したこと

2011 MVA(Most Valuable Agent)

弊社も皆様のご支援ありまして、2期目の年度末決算を迎えられることが出来ました。色々なご指導やご協力ありがとうございました。3月は色々なニュースがありました。一つは、弊社に新たな同志が出来た事。(新入社員が入りました。)もう一つは、弊社が某大手のポータルサイト年間ランキングにて表彰されたことです。設立して、一年と3カ月が過ぎようとしていますが、昨年一年間の結果を表彰されたことです。つまり稼働日の8割が結果として評価されたということです。表彰されたものは下記の内容です。●2011年度 カウンセリング対応満足度 第1位(350社中)●2012年度1月~3月期 カウンセリング対応満足度 第1位(350社中)●年間最優秀コンサルタント受賞(MVA)三番目は個人表彰でありますが、個人と企業をとても良い形で結びつけた事例を持つコンサルタントとして、弊社の秋元が受賞させて頂きました。皆様ありがとうございます。立ち上げて早々、皆様のご指導があり、このような光栄な表彰を頂けました事この場をお借りして御礼申し上げます。新年度もそろそろ始まろうとしています。弊社全員が今一度気を引き締めて、立ち上げ当初に志して...
出来事

変わり目の着眼点

世界No3のエルピーダメモリーが更生法の適用となってしまった。エルピーダは09年に改正産業活力再生法(産活法)の認定を受けた。業績不振に陥った一般企業に公的資金を使って支援する枠組みの適用第1号となった。日本政策投資銀行が優先株を引き受け300億円を出資したほか、三井住友銀行やみずほコーポレート銀行など主力取引銀行4行も約1000億円を協調融資した。何故、公的資金でバックアップしてもなお厳しい環境下には耐えられなかったのか。同時に、もっと驚いたのが、世界No1とNo2が韓国企業であるということだ。最近の韓国企業の台頭が非常に目立つ。国力の違い?政策の違い?いずれにせよ、この結果となった論及点はどこになるのでしょうか。今回の更生法に関しては、公的資金のバックアップ体制や経営陣の手腕などにも疑問があります。ただ、日本の産業構造の変革にこそあるのではないかと思います。もっというと、それに対応出来ていない状況ではないかと考えてしまいます。実際に、ここ最近は「失われた●●年」などと言われていますが、いつまで「失われた」という言い方で逃げ口上にするのか。正しくは、「逃がしてしまった」とか「失くして...
ルール化

役割

誰もが一目置く知人が取引先におり、社内外で良好な人間関係を保っておられる。周囲が味方なので、よく意見を求められ、ご自分からも頼みごとがしやすく、当然、仕事も円滑に進んでいる模様だ。私は、誰とでも人付き合いがうまくできる方ではないので、人間関係を良くするために、どんなことを気を付けておられるか聞いてみた。すると、こんな答えが返ってきた。「昔は、人間関係が今ほどうまく行っていませんでした。理由はいろいろありますが、一つは、周囲の人に期待をしすぎていたからだと思います。例えば、社会人になって最初の上司は、『見て盗んで覚えろ』というタイプでした。『手取り足取り細かく教えてくれたらいいのに』と思うことがよくありましたが、当然そんな願いはかないません。それが不満になっていました。」どんなふうに人間関係が改善したのか聞くと、以下の答えが返ってきた。「『この人に○○してほしい』と期待することをやめ、『自分がこの人に何をできるか』と考えるようにしたんです。すると、いろいろできることがあり、自分も充実し、上司も喜んでくれるようになりました。」「さらに、『人にはそれぞれ役割があり、細かく教えてくれるのは、こ...
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メモの目的

メーカーの営業責任者の方で、業務遂行能力が高く、仕事の達人として有名な知人がいる。その方は、気になることがあると必ずメモを取る、いわゆる「メモ魔」だ。その方ほどではないが、私もメモを取るのが好きな方で、手帳は年中書き込みで埋まっているし、机の周りはいつもポストイットが貼ってある。それにもかかわらず、私はその方のようには仕事がすいすいとはかどらず困っている。元々の能力の違いもあるだろうが、他の理由は何だろうと思って、ご本人にお尋ねしてみると、以下のような答えが返ってきた。「私も最初は、メモを取ることそのものに夢中だった時期がありました。ですが、大事なのはメモを取ること自体ではなくて、メモに書いた業務を実行することだと気づいたんです。数分で終わる小さい用事を、昔は面倒臭がって後回しにしていましたが、今は、その場で済ますようにしています。後回しにして時間が経つと、思い出す労力が必要だったり、面倒臭くなったり、やり忘れたりするので、結局その場でやった方が楽なんですよね。だから、メモ魔の評判からは意外と思われるかもしれませんが、その場で済むことはその場で済ませますから、メモを取らないことも実は多...
ルール化

ブランドイメージと現実の整合性

雑誌を見ていて、携帯電話に対するブランドイメージの調査結果が目についた。約10年間に渡り継続されてきた調査結果である。現在、利用している携帯電話会社とその会社に対するイメージのアンケートである。細かいデータは割愛するが、現在利用中≠好印象という結果に驚いた。例えば、D社の利用者は全体の約40%強であるが、使用者がその会社に抱くブランドイメージはそれほど良くはない。一方でS社の利用者は全体の20%強なのだが、利用者の半数以上の方がブランディングには好印象を持っていた。実際、プライベートと業務用ではあるが、両社のユーザーであった自分の見解と一致する内容であった。CM等の印象でいうと確かにS社はイメージが良い。特に犬が出てきてからは新しいバージョンのものは何となく見てしまう。D社のものは全く印象に残らないくらいにインパクトが無いように思う。しかしながら、ブランディングと使用感というものは、また全く異なる次元の話である。S社はあまりにも電波状態が不安定で通話中に何度も切れてしまうということが発生し、最近になり、別キャリアに替えたくらいだ。CMなどの印象が良かった分、使用感の悪さに、余計に印象が...