近年、転職は珍しいことではなくなりました。
さらに、最近では
「今よりも良いところがあれば」
「機会があれば挑戦してみたい」
そんな自然な選択肢の一つとして捉えられるようになっていると感じます。
加えて、AIの進化により、職務経歴書は自動で作成でき、
応募もワンクリックで完了する時代になりました。
転職活動は、これまでにないほど手軽なものになっています。
この変化が悪いことというつもりはありません。情報にアクセスしやすくなり、
可能性を広げやすくなったという点では、歓迎すべき流れかもしれません。
しかし、採用の現場に長く携わっていると、ひとつ強く感じることがあります。
それは、動きやすくなった一方で、
自分自身の思考が整理されないまま進んでしまうケースが増えているということです。
現在の採用において、企業が見ているのは単なるスキルや経験だけではありません。
もちろん、これまで何をしてきたかは重要です。しかしそれ以上に問われているのは、
「なぜ転職を考えているのか」「何を実現したいのか」「将来どうなりたいのか」
という目的の明確さです。
「今より条件が良ければ」
「とりあえず話を聞いてみたい」
この状態のままでは、企業側に軸が伝わりません。その結果、選考が進みにくいだけでなく、
仮に入社したとしてもミスマッチにつながる可能性が高くなります。
AIは文章を整えてくれます。上手い表現に調整することもできます。
しかし、「何を目指しているのか」という問いまでは、代わりに考えることはできません。
どんな経験を積み、どのような場面で力を発揮してきたのか。どんなこだわりがあるのか。
そして、これからどうありたいのか。
その土台となる思考は、自分自身で向き合う必要があります。
だからこそ私たちは、面談の際に職務経歴書の作成を強くお勧めしています。
それは、応募のためではなく、ご自身の思考を整理する時間にしていただきたいからです。
新卒時代からの経験を振り返り、任されてきた業務を書き出し、
どんなことにこだわって取り組んだのか、成功も失敗も含めて、
今の自分を形成してきたポイントを言語化してみる。
その過程で、自分の強みや弱み、伸ばすべき課題、
さらには大切にしている価値観が見えてきます。
意外な一貫性に気づくこともあれば、思い込みに気づくこともあります。
文字にすることで、初めて客観的に自分を捉えられるようになると思います。
転職は目的ではなく、あくまで手段です。
便利な時代だからこそ、「何となく」で動くのではなく、
「何のために動くのか」を一度立ち止まって考えることが重要です。
その問いに自分の言葉で答えられるかどうかが、選考において大きな差になります。
そしてその答えは、誰かが与えてくれるものではなく、
自分のこれまでの積み重ねの中にあります。
転職するかどうかは、その後に決めれば良いのです。
まずは、自分の現在地を知ること。
職務経歴書を作ることは、そのための第一歩です。
便利なツールの土台にあるのは自分自身の思考です。
自分の目的を言語化する力が、これまで以上に価値を持っています。
ぜひ一度、「自分のための職務経歴書」を作成してみてください。
その時間は、これからのキャリアに重要な意味をもたらすはずです。

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