平成という一時代を多くの記録と記憶で彩ってきた天才打者が、バットを置いた。
2019年3月21日、イチロー選手は試合後の記者会見で28年間の
プロ生活を終え、現役を退くことを表明した。
日米通算4367安打はギネス世界記録。
改めてイチロー選手という人物を振り返りました。
イチロー選手が徹底している5つのこと。
「いま、小さなことを多く積み重ねることが、とんでもないところへ行く
ただひとつの道なんだなというふうに感じています」
これはイチロー選手が、メジャーリーグの年間安打数の記録を破ったときのコメントです。
さまざまな記録を叩き出している非凡な選手に見えるイチロー選手も生まれついての天才ではなく、
小さなことを積み重ねた末に高みまで辿り着いたのです。この言葉は、ひとつひとつは小さなことでも、
継続することが結果を生み出すという普遍的なことを教えてくれます。
1.努力とは、意欲ではなく習慣の問題である
とんでもない結果を出す人は、人とは違う努力をしていたり、生まれつき特殊な才能を
持っているものだと考えがちです。イチロー選手が過去に残してきた成績は特別なものですが、
彼が行なってきた努力の内容は少しも特別なものではありませんでした。
イチロー選手を偉大なメジャーリーガーに仕立て上げた秘密は、自分がやると決めたことは
何があってもやり遂げるという、長期間にわたって習慣として持続させる継続力。
一流と呼ばれる人々は、当たり前のことを当たり前に行なう習慣をもっているのです。
調子のいいときや、やる気のあるときなら誰でも努力はできます。
肝心なのは、やる気があろうがなかろうが、やるべきことをいつも通りこなせるかどうかです。
2.苦痛を習慣化し「地味な努力の天才」を目指す。
「やりたいこと」と「やるべきこと」。人間には必ず両方が存在します。
多くの人は「やりたいこと」の方に軍配を上げてしまいます。
なぜなら「やるべきこと」とはたいていの場合、苦痛をともなう作業であるからです。
イチロー選手が長けていたのは、子どものときから「苦痛の習慣」を自分に義務づける意思力があったこと。
プロ野球選手になろうという自覚が芽生えはじめた小学3、4年生のころ、
お父様に連れられてバッティングセンターに通っていたといいます。
マンガを読んだりゲームをしたりという子どもらしい快楽の習慣を抑制し、
バットの素振りやマシンでの打ち込みなど苦痛をともなう作業をルーティンワークとして
自分に課すことができた彼は、「努力する天才」だったのです。
3.簡単なことほど奥が深く、単純なことほど難しい
相手を変えることは難しいですが、自分を変えることならすぐにできます。
それは仕事もそう。自分に合う仕事がないかと考えるのではなく、
目の前にある仕事に合わせて自分を変えられるかどうかを考えることが大切です。
ホームランを打つのは確かにすごいことですが、それよりもコンスタントにヒットを
打ち続けるほうがはるかに難しい。ひとつひとつのヒットを大事にし、
コツコツ積み重ねていくことが最終的にチームを勝利に導きます。
雑用は雑に扱うことで雑用になり、ていねいに扱えばそれは「仕事」になるのです。
4.新しいことよりも、いままでやってきたことを変わらずやり続ける
現代は情報社会。情報量の増大とともに選択の幅も広がり、
ひとつの分野に愚直に打ち込む行為を低く見て、
マルチで多彩な才能を必要以上に持ち上げる風潮があります。
しかし、選択肢が多いということは迷いも多いということ。
あれこれ目移りしてしまうことで、どれも自分のものにできない結果を招いてしまうこともあります。
いろんなことが70点どまりの人と、あるひとつのスキルに関しては100点の人、
社会が評価するのはどちらの人でしょうか?
残念ながら社会が評価するのは、あなたのいちばんの才能であって、
2番目以下の才能などほとんど評価の対象にはならないのです。
新しいものごとに次々と飛びつくのではなく、
自分が努力し続けられるひとつのことを深く掘り進むことで、
それがいずれ自分の天職となるのです。
5.将来の夢を語るひまがあったら、黙っていまやるべきことに集中する
「がんばる」「一生懸命」。日本人はこういった精神を美しいと感じるメンタリティを持っているようです。
もちろんがんばることが悪いわけではありませんが、プロの言葉ではないのです。
プロにとって「がんばる」とか「一生懸命やる」のは当たりまえのことで、
わざわざ表明するようなことではないのです。
プロ意識とはこういうものでがんばらなくても結果を出せる人と、
がんばっても結果が出ない人。プロの世界で評価されるのは前者なのです。
「がんばる」が口癖になっている人ほど、やればすぐにでもできることを先送りして、
「いま」始めようとはしません。
私自身も頑張るという言葉を封印して、今を全力投球していきたいと思います。

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