未分類 失われた信用を求めて・・・
T社の売上高の水増し等の不正事件が明らかになったのは昨年のことだった。監査法人が不正の兆候を知っていながらも見逃していた。リスクの高い監査は職業的懐疑心を持って慎重に行う必要があるが、人手不足や担当企業との馴れ合い、担当ディレクターの監査報酬という売上を失いたくないという気持ちから、不正の「ニオイ」があっても、なかったことにしていたのだろうと思う。どうして監査法人がこのような質の低い監査を提供してしまうのか?あるレポートでは、監査法人の「ギルド的体質」が不正を防止できない法人内の企業風土を醸成してしまっているという。ギルドとは、中世ヨーロッパの都市で発達した商工業者の独占的、排他的な同業者組合である。生活のさまざまな面で相互に助け合うために結成した身分的な職業団体で同業者の利益を守ることを目的としていた。監査法人の組織制度は、自分の利益だけ考えて、所属する組織やその先の顧客の利益を守ることができなかったのである。これでは、企業がグローバル化し、様々な予期せぬリスクを負う昨今の高リスクの監査には対応できないことだろう。T社はもちろん、E監査法人の今後の組織の変容を見てみたい。T社に限らず...