24時間走れますか

夏の恒例、某局の24時間テレビを今年も視聴させてもらいました。
今年のマラソンランナーは、お笑い界で一世を風靡した後人気タレントとなり、
「永遠の16歳」であるアイドルと結婚したHさんでした。
年齢は私より少し上、多彩な才能を持つ方で芸能界を10年ほど
離れておられましたが、2014年にバラエティー番組中心に復帰。
今回の24時間マラソンを見事走り切り、感動のゴールテープを切りました、
知り合いでもない私の涙腺も、見事に崩壊してしまいました。

チャリティーマラソン、その始まりは30年ほど前に遡ります。
「お尻がかゆい」ギャグを持つ芸人さんに、
TV局が深夜に10分だけどうでしょうかと依頼したところ、
「24時間走りましょうか?」と言って見事に走りきり、
日本中を感動に包み込んだのが始まりでした。
それ以来、毎年様々なタレントがマラソンに挑戦する姿を中継をしながら、
スタジオでは、障害者への支援や、お年寄りへの支援、貧しい国への訪問、
寄付などのドキュメンタリーを放送するという流れが定着しました。

番組への温かい励ましや感動のコメントが増えるとともに、
一方で、批判、誹謗、中傷などがSNSでも繰り広げられるようになりました。
「ゆっくり走って調整している」「歩いてばっかりだ」、
あるいは「チャリティーなのにギャラを貰っているの?」などという声です。

今年走ったHさんや、過去にランナーとなったタレントさん達の場合は、
練習時間なども含めれば、一ヶ月以上はマラソンのことだけに時間を費やし、
下手すれば他の仕事を削りながら取り組まれていることでしょう。
そう考えると、ギャラはもらって当然だと思いますし、
その姿をきっかけとして寄付をするかしないかは、
個々の考え方の問題なので周りがとやかく言う事でないと個人的には思います。
チャリティーと言っても、アナウンサー、タレント、スタッフ、などなど
皆さまにはお仕事として依頼をされているので、
その労働の対価をもらうことに何ら違和感はないと思うのです。

例えば、「障害者の方をネタに番組を作っている」
「泣かすためにはなんでもやる」等と言う人もいらっしゃいますが、
この番組のおかげで、少なくともその障害者の方々の現状を
理解することができると思いますし、今まで意識すらしなかった方が
「どうしたら、彼らを支えることができるだろうか」と思い、
行動を起こす方もいるのではないかと思います。

そもそも、番組に共感ができないならば見なければいいのですが、
例えば芸能人の方の中にも「ギャラなんてもらうな、チャリティーだろ」と
言ってたのに、自分が当事者になった途端に手のひらを返す…という人もいます。
人には厳しく自分に甘い人というのは、どんな世界にもいるという事ですね。

そういえば、転職の世界でも似たようなケースはあります。
現職の上司に転職する意思を伝えた途端に
「会社辞めるの?いなくなったら皆が困るんだけど、裏切るの?
ネットで見たけど、君の行く会社はブラック企業みたいだよ?」と、
ここぞとばかりに、ネットに散らばる無責任な匿名発言を引用しながら
誰かの可能性という夢を盗もう、阻もうとする「ドリームスティーラー」がいます。
往々にしてスティーラーになるのは、自分は転職することが出来ずに
ネガティブな理由で現職に留まるしかない人だったりします。

転職に限らず、新たな環境へ勇気ある一歩を踏み出す人の邪魔をしてはいけません。
かの番組のマラソンと同じ様に、その人が歩み出した道のりで泣いたり笑ったり、
そして速度を早めたり、ゆっくり歩いたりしながらもひたむきにゴールを目指す姿に対し、
時に沿道から励ましたり伴走したりできる「エールを送る存在」でありたいものです。

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