最近、長野県の山の上にあるパン屋『わざわざ』という店についての記事を読んだ。
年商3億円という驚きの売上を誇る店で、その成功の理由が興味深いものだった。
記事によると、そのお店のオーナーは、「調理パン」ではなく「食事パン」に特化しており、
食事パン二種類(食パンとカンパーニュ)を全身全霊込めて、品質向上に努めて提供しているそうだ。
食パンに関しては近隣の牧場から新鮮な牛乳を仕入れ、僅かなイーストを使い、
24時間かけて発酵させ、ガスオーブンで丁寧に焼き上げる手法を採用。
カンパーニュは自家製の小麦酵母を活用し、同じく24時間かけて発酵させ、
薪窯でじっくりと焼き上げる手法を採用している。
こうした異なるこだわりのアプローチを通じて、この店は『わざわざ』という名の通り、
全国から多くの人々がわざわざお越し頂ける繁盛店となった。
この事例からも、仕事や商品の価値を高めるためには「こだわり」が不可欠と思われるが、
二種類の食事パンの成功は、「顧客満足へのこだわり」が軸となっていると思われる。
「こだわり」は時間のかかるものだが、このパン屋の店主のように商品においては
「相手を満足させるためのこだわり」と店舗の立地に関しては、
最高の山の景色と美味しい空気のあるこの場所で店を出したいという
「自分が満足するためのこだわり」もあったりする。
双方のこだわりが繁盛店であることの秘密かも知れないが、
後者の「自分が満足するためのこだわり」だけであると、他人に理解されない場合も多い。
自分も社内で資料作成を任された際、自分の独断で膨大な時間をかけて、
情報を集め、作成したことがあった。
結果、上司からは効率の悪さを指摘された。
自分としては良いものを作りたいという考えはあったものの、
上司からすると会社の労働時間であること、その資料を基に次の工程に進めるため、
早急に出してもらうことの方が重要だったのだ。
「こだわり」を持つことは素晴らしいことだが、
単なる自己満足を追求するためのものであってはならない。
無意味なものとなってしまう。その為にも「目的の明確化」が大事になる。
冷静な視点で「いつまでに、何の為に使うのか?
自分のこだわりは意味があることなのか?」考えることが大切だ。
「こだわり」の価値を最大限に引き出すためには、自己満足にとらわれず、
状況や目的に応じて適切な「こだわり」を活かすバランス感覚が欠かせない。
自身の情熱や目標とうまく融合させつつ、成果につなげるために必要な
エッセンスとしての「こだわり」を持つことが、ビジネスにおいては
成功の鍵となるのだと思う。

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