修造チャレンジ

同僚の机の上に松岡修造氏監修の日めくりカレンダーが置いてある。
かなり昔のものだが、書かれているメッセージは想像通りで
「目指せ自分チャンピオン!」など熱さ溢れる仕上がりになっている。
ファンじゃないのについつい眺めてしまう不思議な魅力がある。

先日新聞にアメリカの会社がまとめた「職場環境調査」の記事があり、
それによると日本は対象国145か国で最下位、
仕事への熱意や職場への愛着がある社員は全体の「5%」との事だった。
鵜呑みにするわけではないが、20人に1人しか「この仕事が好き」だと
思っている人がいないならば、何とも寂しい結果だと率直に思う。

仕事柄、様々な業界、年齢、職種の方とお話をする機会が多いのだが、
その中で必ずお聞きするのが転職理由だ。これもまた理由は様々だが、
多いのは人間関係や会社の評価、経営の方向性等になるだろう。
妥当性がある様に感じられるのだが、少し掘り下げて話をお聞きすると
「うーん、言うほど悪い会社ではないな…」という見方に変わるケースも多い。
そういう場合、ご本人の「不満」に対しての向き合い方や取り組み方に
あまり主体性が無かったり、自分本位である点が共通していると思う。

耳が痛い話だが、良くない事が起こった原因を他責にしたり、
「自分は不運」だと決めつけてしまう思考により、
柔軟性を失い、視野が狭くなってしまうというのはよくあること。
仕事を「やりたい事」「できる事」「やるべき事」の3つに分けて考えると、
「やるべき事」を避けて通りたい時や、「やりたい事」がやらせてもらえない時に
転職を考える人が多いのだと思うが、仮にフリーランスだったとしても、
本当に自分のやりたい仕事だけを選べる人は一握りだろうし、
寧ろ会社という場所にいて守られているからこそ、
やりたい事が出来る機会に恵まれるという側面もあるだろう。

現実はシビアであり、「やりたい事」が完璧に「できる」だけのスキルを持ち、
それが会社にとって「やるべき事」として認識されて、初めて高い評価を得る。
となれば、他者から必要とされる一番の近道は「やるべき事」から逆算して
「できる事」を増やしていく事と言えるし、そもそもそれによって
自分の「やりたい事」が変わっていく可能性だってあり得る。

自分が好きな事をやるのが「趣味」、他者に価値を提供するのが「仕事」だとよく言われる。
どこまで行っても自分の仕事の価値を決めるのは他者であるとすれば、
自然に熱が発生する「やりたい軸」よりも、他者から求められる事に思いきり熱を注入した方が
結果として自分のやりたい事に近づける気がする。そして、その熱量は他者にも伝播し、
会社や仕事に熱量を持つ人がさらに生み出されることで、
自分が理想とする職場環境にも近づくのではないか。

最後に、修造氏の日めくりカレンダーからの一節を皆様にお送りしたい。
「君の脳はNOなんて言ってない!」

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