意識に感染するもの

知り合いのおばあさんと会った時、
息子が挨拶をせずにすれ違ったらしい。
訳を聞くと、マスク生活になってから、
喋らない方が良いと言われるようになって
段々挨拶もおざなりになってしまった様だ。
これもコロナ後遺症の一つかと感じつつ、
子どもには挨拶の大事さと感染リスクの話をした。

先日の日経新聞に「戻らぬ働き手1000万人」という
記事が掲載されていた。今現在働いている人と
仕事を探している人の数が減っているという事だ。

これは先進国全体の傾向であり日本も例外ではない。
日本人の場合「人材ミスマッチ」によるもので
需要はあるがそのスキルを持っている人材がいない、
というのが背景にあるらしい。

コロナ禍での生活スタイルの変化に伴い、
慣例だからやっていた様な無駄な仕事は減っていき、
労働環境としては全体的に効率が上がっただろう。
しかし、働き手の意識もアップデートされたかというと
全く追いついていないように感じる。
ハード(環境)は高性能になったが、
むしろソフト(意識)は「緩く」書き換えられてしまい、
色々なウイルスが侵入しやすくなっている。
それによって職場や転職市場にギャップが発生しており、
冒頭のミスマッチにもつながっているのかもしれない。

そのウイルスの一つが「できない・やれない」を肯定する感覚だ。
本来は非接触型の生活や仕事の様式が一般化するほど、
目に見えない部分が多くなる分、相手への配慮が必要になるはず。
しかし、見えない事は今までにない楽さをもたらすので
配慮はおろか、むしろ他者をもっと遠ざけようとしてしまっている。
前はやれていた事すら「まあ、仕方ない」で片づけてしまい、
「どうやればできるか?」という思考がどんどんつぶされていく。
そして、一端下げた自分のハードルは、容易には上げられなくなる。

もちろん「緩さ=後退」だと決めつけるつもりはない。
しかし、今の状態から何らかの前向きな変化を望むのなら、
間違いなく強いエネルギーが必要となるはずだ。
もし、コロナ前後のタイミングで特にエネルギーを使うことなく、
自分が決めたルールを変えたり、止めてしまった習慣があるのなら
それは効率化を言い訳にした甘えや逃避だと疑った方が良い。

転職するにしても、今の会社でひと踏ん張りするにしても
そこには前向きなエネルギーが絶対に必要になる。
コロナというウイルス自体は弱毒化しているかもしれないが、
「働く意識の後退」という別の形でじわじわと感染拡大している。
不安に思うことがあれば、我々の様なエージェントに
棚卸しの面談を申し込むのも有効だ。自覚症状が無い時ほど、
他者からのフィードバックは頼りになる。
転職を考えていなくとも、遠慮なくご相談頂きたい。

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