情報を「獲る」

出社のため山手線を利用していた際、
「うなぎパイ」の紙袋を持った男性が私の目の前に現れた。
今までの私であれば、単に「あ、静岡名産のうなぎパイだ」
程度に見過ごすところである。しかし、私は職場の仲間から数日前、
このうなぎパイについて雑学を教わったところであり、
その真偽を確かめるため、紙袋に目を凝らしていた。
そして、「夜のお菓子」と書かれた小さな文字を見つけた。
この職場の仲間からは、まさにこの「夜のお菓子」について、
その由来を教えていただいたところであり、
その小さく書かれた文字のせいで思わず頬が緩んでしまった。

ちなみにこの「夜のお菓子」の由来について、
本来は全員がテーブルを囲む家族団らんのひと時、
“夜のおとも”として食べてほしいという思いで名付けたそうだが、
うなぎと言えば、精力アップや滋養強壮にうってつけの
スタミナ食材であるイメージが定着しており、
“夜のお菓子”=大人の精力剤みたいな
エロティシズムな発想が勝手に定着したと言われている。

このうなぎパイの件で、私は一つの気づきを得ることができた。
それは、物事をとらえる自分の視野がいかに狭いかということだ。
今回の場合はあくまで雑学であり、極論知らなくても何ら生活に支障を来すことはない。
しかし、「人材紹介」というビジネスに置き換えて考えてみると、
背景に隠された情報を知らないまま、転職希望者様や企業の担当者様と
情報のやり取りを行っていた場合、そうでない場合と比べると、
得られる結果は大きく違ってくるはずで、時としてお客様に大きなご迷惑を
かけることになりうる。

ただ、この背景を知るために必要な「糸口」のようなものは存在し、
それに気付けるか、その糸口をフックとして、深堀を行っているかがポイントになる。
今回取り上げたうなぎパイに関して言えば、「うなぎ」+「パイ」という
ミスマッチな組み合わせが糸口であり、そこから何らかの違和感や、
「なぜ?」という疑問を抱いた後、自分で調べるという動きができていれば、
自分の知識として、逆に誰かに伝えることができたかもしれない。

こうした思考回路を自分の型として確立することは、意外と難しいように感じる。
なぜならば、今の時代、我々はシャワーのように情報を浴びているからだ。
これによって、思考をショートカットして情報を「得る」ことが可能になった。
しかし、情報が簡単に得られるようになったからこそ、
情報を「獲る」ことに価値があるように感じる。

我々はコンサルタントとして、企業の担当者様や転職希望者様に対して、
情報を発信する立場にある。そこで、「得た情報」ではなく、
「獲ってきた情報」を伝えることがコンサルタントの価値であると感じた。
私個人としては、業務時間内だけでなく、通勤の際や外出先でも、
「なぜ?」という疑問を抱いた後、自分ですぐに調べるといった習慣を確立したい。

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