背負うもの

東京ドームで開催された格闘技イベントの後日談となるが、
残念ながら敗者となってしまった武尊選手が記者会見を開き、無期限休養を発表した。

那須川天心選手との対戦を世間から熱望されてからの約7年間、
体を酷使し続けた結果、試合前から、膝や腰に大怪我を抱え、
SNSでも心無い中傷を浴びせられ続けたことで精神も追い込まれていた。
格闘家にとって怪我やバッシングは避けられないとは言え、想像以上だった。

まず、この状態でリングに上がり、
多くの人に感動を与える試合をしただけでも普通では考えられないことである。

そして1R終了間際、左のパンチを浴びせられダウンを喫してしまったが、
全体重を乗せたパンチにカウンターを合わせられたので、そこで試合が終わってもおかしくなかった。
それでも立ち上がり、最後まで前に出続けた。

色んな想いがあったとはいえ、根本に団体を背負う意識があったからこそ、
心身共にボロボロの状態でも戦えたのであろう。
「格闘技をサッカー・野球のようにメジャーにして、地上波で放送されるようにしたい」と
武尊選手は色んなメディアに出演して常々言っていた。
強豪と戦って勝ち続ければ団体の価値も上がる。
負ければ、所属ジムや団体の看板に泥を塗る。
そういった気持ちを持ち続けたからこそ、
限界に挑み続け、一人の力では越えられない壁も超えられたのだと思う。

次元は違えど、私たちの仕事も、同じ事が言えるのではないか。
目標に向けて頑張ろうとする時程、弱さも出てきがちだからこそ、
自分以外の誰かや、組織の為という想いが大きな力となる。

「お世話になっている上司に報いたい」
「沢山稼いで、家族を楽にさせたい」
「恋人など、大切な人に堂々と顔向けできる自分で在りたい」
など、どんな動機であれ、自分が背負っているものが腹落ちできていることが重要である。

自分の成功を喜んでくれる人。
どんな状況でも味方でいてくれる人。
落ち込んでいる時に勇気付けてくれた人。
自分にチャンスを与えてくれた環境・組織。

これらを思い返すことで、
自分の努力が何につながるか自ずと見えて、モチベーションの原動力となるだろう。

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