世の中にサービスや物、それに付随する情報が溢れる中、
新たな発信や商品を提供している人は、如何に認知してもらえるようにするか?
また、どうすれば魅力的に映るのかに頭を抱える日々が続く。
確かに、どんなに良いサービスも、まずは知ってもらうことから始まる。
一方、忘れてはいけないのは、『サービスの価値はあくまで利用者が決めるものであり、
見せ方に囚われすぎると、本質を見失うということがある。』ということ。
それを、学生時代の友人から教わった。
その友人は、調理の専門学校を卒業後、都内のイタリアンレストランに就職し、
本場イタリアでも修行を積んだ後、地元に戻り、自分で店を開いた。
非常に盛況でいつも賑わっており、一度も赤字を出したことが無いそうだ。
ふと思い立って食べに行こうとしても、満席で入れないこともしばしあった。
コロナが流行り、2020年に最初の緊急事態宣言が発令されてから、現在に至るまで、
大変な状況に変わりは無いが、国や地方自治体の制限を守りつつも、
多くのお客様に支えられ、開店以来の蓄えで健全な経営をしている。
何故上手くいっているのかを知りたくなり、お客様とのやり取りを注意深く見てみた。
すると、会計時に幾度となく常連と思われる方からの激励の言葉をもらっていた。
お店を心配し、彼の為にまた食べに行こうとしてくれているお客様(ファン)が
たくさんいたのだ。
私が最後の客となった時、彼はポツリと言った。
「昔からの常連さんでも、いつ離れてしまうか分からないし。
だから、今が順調だからこのままでいいとは絶対に思わないようにしているんだ。」
その言葉通り、人気の定番メニューでも、日替わりで具材を変えるなど、常連さんが
飽きないようにすることであったり、満席で厨房を回すのに手一杯でも、常に客席を見渡し、
空いた食器をすぐ下げて食後のコーヒーを提供する。
当然、店内は常に清潔な状態を保っていて、ゴミが落ちているのを見たことが無い。
挙げればキリが無いほど、基本的なことを、一切妥協せずに徹底していた。
友人ながら、本当に頭が上がらない。
開店当初からのお客様が知人に紹介し、その輪が広がり今に至ることを容易に想像できた。
大々的なプロモーションをしなくても、口コミで街の人気店になっていたのである。
新しい年を迎えたと思ったら、いつの間にか1月の終盤に差し掛かっている。
友人を見習い、自己努力でやれる事をやり切れているか振り返りを行おうと思う。

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