ビジネス、スポーツ、音楽など、あらゆるジャンルに於いて、
常に結果を出し続ける人は存在する。
○○には天性の才能がある。
恵まれた周辺環境があるから成立している。
などと思い、つい、自分と違う世界にいる人で片付けてしまうこともある。
では、そういった方達から真似できることは無いのか?
確かに、どんなジャンルに於いても、
周囲よりも高いパフォーマンスを発揮するには、最低限の適性は必要だろう。
しかし、もっと大事なのは、本ブログのタイトルである「見えない努力」をできるか。
更に言えば、これをどれだけ継続できるかに尽きる。
「見えない努力」には、シンプルに人が見ている・いないに関わらず、
決めた事をやるという意味もあるが、本ブログでは、結果が見えにくいものや、
地味ですぐに成果に直結するか分からないことでも、
どれだけブレずに継続できるかということを取り上げたい。
実際のエピソードとして、あるキックボクサーについて紹介する。
私も、趣味でキックボクシングをやっており、
所属するジムは、団体のチャンピオンクラスもいる。
その中でも、最近ベルトを巻いた選手について取り上げたい。
その選手は、約4年前、高校生の時にプロデビューし、
連戦連勝を重ね、派手な倒し方をするので、団体関係者からも注目されていた。
私も交流があり、自分がアマチュア大会に出場する際に
サポートしてもらったことがあるので、コロナ前は、
彼の試合を観るために何度か試合会場にも足を運んだ。
デビューから無敗の7〜8戦目のタイミングで、元チャンピオンと対戦し、
健闘したものの、残念ながら初黒星を喫してしまった。
敗戦後、彼とジムで会い、少し話す機会があった。
敗北を引きずらず次に向かう様子だったが、
丁度コロナの感染が広がっていた時期で、次戦はいつか分からない。
彼の言葉は前向きだったが、敗戦後に先が見えにくい状態で
モチベーションを保つのはしんどいだろうと内心思った。
しかし、そんな心配とは裏腹に、
練習を見学している私の目に映ったのは
敗戦前以上に地味な基本練習をひたすら反復する彼だった。
ジャブをはじめとした、基本攻撃のフォーム確認。
ディフェンス練習。
非常に大切な練習だが、最も地味な動作であり、
形になるのに時間を要するものなので、つい惰性でやりがちになる。
しかし彼は、ジャブ1つ出すにも、攻撃を出した時にカウンターを
もらわない為に反対の手や身体の位置をどうするか。
あるいは最も効果的に出すタイミングはどこか。
相手から初期動作が分からない出し方はないか等、
プロではない自分が見ても感じ取れるくらい、
本当に頭をフル回転させながら繰り返していた。
先日、ベルトの懸かったトーナメントが開催されて、
これまでの実績から彼も出場した。
当然、簡単に勝てる相手はおらず、その中でも、
一番勝ち上がるのが大変なグループに振り分けられた。
しかし、そこで目にしたのは、想像を遥かに上回る強くなった姿だった。
前回の初黒星を喫するまでは、下段・中段の蹴りでダメージを与え、
パンチの連打で倒すスタイルだったが、そこに、自分だけが攻撃を当てられる位置で
左ジャブを的確に当てて、相手のやりたい攻撃をさせない動きが加わった。
更に、ディフェンス力が格段に上がり不用意に被弾することが無くなった。
結果として、パンチ連打に頼らずとも、どんな技でも相手を倒せる選手になり、
トーナメントは圧倒的な強さを見せつけての優勝だった。
元々強い選手が、どんな試合展開でも相手を倒せる選手になって帰ってきたのと同時に、
敗戦から地道に積み重ねてきたことが正しかったことを、多くの人達の前で証明したのである。
人はつい、すぐに結果がつながらないことを惰性でやってしまったり、
短期的結果につながるものだけに着手しがちである。
しかし、彼を見て、どんなジャンルに於いても、基本動作の徹底が大切で、
中長期的に見ると、それこそが勝ち続ける理由であると学ばせていただいた出来事だった。
私もようやく2回目のコロナワクチンを接種したので、彼の次の試合は、是が非でも生で観戦したいと思う。

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