「つながらない権利」とは、就業時間外に
メールなどでの業務連絡を拒む、働き手の権利のこと。
コロナウイルス禍の中、テレワークが定着し、
仕事とプライベートの境目がより曖昧になり、
長時間労働に繋がるという実態から、
就業時間外の業務連絡を受けない「つながらない権利」が
世界的に注目されているらしい。
確かに、テレワークになったことでONとOFFの切り替えが難しく感じるし、
相手の様子が見えない分、ちょっとしたことを
連絡するタイミングが分かりにくい。
タイミングをはかっているうちに忘れることがあるため、
つい“忘れないうちに伝えておこう”と
メールをしてしまいがちでもある。
「自分の(プライベートの)時間を奪われる」「休みたい」という
自分目線で考えると、
「つながらない権利は必要だ」と個人の権利を主張したくなるが、
一方で、自分自身も誰かの時間を奪っている可能性が
あることも意識しておきたい。
時間を奪う・奪われるのは、就業時間外や休日に限ったことではなく、
日頃の業務においても、私たちは常に誰かの時間を使って仕事をしている。
例えば、会議。会議は多くの人たちが参加し、多くの時間を費やしている。
それぞれの時給で換算したら、いったいいくらのセミナーに
匹敵する金額になるだろうか。
この会議で目的やゴールが見えずダラダラと続けたら、
時間と時給のどろぼうだ。
また、目に見えてないところでも誰かの時間をどろぼうしていることがある。
例えば、営業さんが使うための販促資料を私が作成することになったとしよう。
実際にその資料が使われるのは翌日。
期日までには、あと1日あるからと後回しにしてしまい、
営業さんへの提出が終業時間ギリギリになった。
自分の業務としては、就業時間内に収まっているし、
相手への連絡も就業時間内なので問題ないのだろうか?
実際は、その後その資料を受け取った営業さんは、
資料を確認し、修正すべき点を修正し、
さらには、その資料を使ったプレゼンの練習を就業時間外に行う羽目になる。
つまりは、営業さんの時間どろぼうをしてしまっているわけだ。
自分の仕事の先には、誰か、またその先にも
関係する誰かがいることを忘れてはいけない。
自分の権利を主張する前に、
自分が誰かの時間どろぼうになってしまっていないか考えたい。
そして、思いやりをもった仕事の仕方を心がけることで、
規制しなくてもよくなり、権利やルールが減っていくような組織を目指したいなと思う。

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