自分にとっての価値

近年日本は「安くて良いモノを買える国」になっていると言われています。
かつて日本は世界でも有数の物価が高い国でしたが、
諸外国が目覚ましい経済成長を遂げたことから、
日本の相対的な物価が安くなっていることが理由のようです。
「安い」ことは魅力の1つであり、インバウンド需要に繋がっているわけですから悪いことでありません。
ですが、「高い技術力」と世界でも存在感のあった日本だったのにと何だか寂しい気もします。

2020年の今年は、オリンピック・パラリンピック・イヤーです。
世界中に今の日本の技術力や魅力を知っていただく最高の機会です。
どんな技術に力を入れているか詳しく調べたことがなかったので、調べてみました。
・0.3秒で照合可能な顔認証技術を活用したセキュリティチェック
・リアルタイムに競技空間やライブ空間を「丸ごと」伝送、再現をめざす超高臨場感通信技術を活用して
パブリックビューイングでもまるで会場にいるような体験をすることができる技術
・選手村で走る自動運転車
・介助ロボットや多言語対応ロボットなどのロボット技術 等々
日本の科学技術を駆使したハイテクノロジーなおもてなしが期待できそうです。

こうして調べてみると、日本が世界の技術力に劣っているわけではなく、
ただ単に私たちが知らないだけ、知ろうとしなかっただけなのかもと思わされました。
そして、日本が「安くて良いモノを買える国」なのは、物価の安さだけが原因ではなく、
本来はもっと高く評価されるべき技術(製品)が、その価値に見合わない価格で提供されてしまっている
という見方もあるのではと感じました。

例えば、日本のレストランやホテルなど高いサービス力も、私たちはそれが当たり前であり、
その上でさらに安い価格を求めています。それに応えられるように企業努力をする、その繰り返しで
質の高いものが生まれる、その真面目さや勤勉さが今の日本を創ってきたと言えると思います。
しかし、今やビジネスは国内だけではなく世界が市場となっていることを考えれば、
「この製品には、それだけの価値がある」とプライドを持って押し通す、価格を下げるのではなく、
理解してもらえるにどうすべきかということこそにイノベーションが必要なのかもしれません。

消費者の私たちも、他の誰でもない“自分にとっての”価値を知り、見極め、判断する、という力が
さらに必要になってくると思います。
環境や状況に流されるのではなく、自らが考えること。他人がどう思うかではなく、自分がどう思うか、
そういった力を養っておかないと、大きな波に飲み込まれてしまいます。
モノだけではなく、自分の価値も同じです。
自分自身を安売りしないためにも、自分を知る、他人を知る、知らなかった自分を知る、
その上で価値向上のための努力を惜しまない姿勢が大事なのではないかと思います。

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