先日、有効求人倍率が1.21倍となり23年ぶりに高水準をマークしたとの発表があった。
有効求人倍率は、ぜひ産業別の数値も見て参考にして欲しい。
有効求人倍率が高い業種は、建設・医療や福祉、外食などの業界で、
人が集まりにくく、人手不足が続く業界での求人が多いのが実態。
その他の業界では微増にとどまっている。
尚、飲料や化成品の業界は前年対比でマイナスを示している。
転職希望者数も増えているという一部の発表もあるが、
実際に転職市場で働く私の見解では、転職を希望している人は増えているが、
転職活動を本格的にしている人はそれほど多くないと思う。
転職を考えることで自らのキャリアや働き方を見直すことはいいことだが、
何となくではなく熟考するなど、転職は慎重であって良いと思う。
一方、人があまり動かないということは、人を採りたい企業側は
採用に苦戦することになる。
リーマンショック後は、中途採用自体が少なかったため、採用企業は非常に厳しく
人材を見極め、厳選した採用を行ってきた。しかし、一般的に景気が良くなると、
これまで厳選採用していた企業も売り手市場による焦りから
採用基準を緩和する動きとなる。
恐れる事態はその後にある。
十数年前にITバブルと共に、一気に雇用が促進された。売り手市場の状況もあって
採用企業は基準緩和を大幅に行い大量採用で人材の確保に当たった。
しっかりとキャリアの棚卸をしないまま時代の流れに乗って何とく転職してしまった人、
採用基準を下げ大量採用した企業、
その結果は、ミスマッチによる離職率の増加だ。ひいては多数の離職により
事業運営にも響いてしまったという歴史がある。
厳選し過ぎると採用が出来なくなるというリスクもあるが、
転職者側、企業側ともに不幸になった過去を思いだし、ぜひ歴史に学んでほしい。
私たちも目先の時代の流れに惑わされることなく、いつの時代でも変わらない価値
―働く意識の持ち方― を提案し続け、プロとしてミスマッチのない転職支援を行いたい。
そのためにもキャリアの棚卸をしっかり行い、転職者・クライアント企業、
双方が大切にしているものを必ず把握するように努めている。
譲れない大切なもの、その思いが合致した(マッチした)採用のお手伝いを、
この時代だからこそ、改めて重視したいと思う。

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