「郷に入っては郷に従え」と言う言葉がある。
古くは中国の荘子の時代まで遡り鎌倉時代中期から明治時代初期にかけ
広く使われていた子供向けの教科書にも記載があることもあってか
日本において非常に馴染みの深い言葉でもあるといます。
ご存知の通り、よその土地に入ったならばその土地の風習を尊重して
それに従った方が良いという、処世術を説いており転職とも縁の深い言葉だと思います。
しかし昨今の報道で次々と明らかになる、業界内では公然の事実であっただろう
様々な「悪習」を目にすると、この諺に対しての疑問が湧いてきます。
子供向けの教科書に引用されていることからの推測ではありますが、
元々は「よそのムラに行ったら、しきたりに合わせ、失礼のないようにしてきなさい。」
ぐらいの、今よりも小さなコミュニティの中で孤立しない為の話だったのだろう。
しかし、長い年月を経て曲解され「赤信号みんなで渡れば怖くない」的な発想に行きつき
結果として組織的な悪習の隠れ蓑となってしまっているケースもあるように感じます。
新しく所属する組織の中で「当たり前」となっていることを
何の疑いもなく受け入れ、盲目的に信じることはあまり良いことではありません。
しかし、一方で自分の中にある価値観だけが正しいと思い込み
自分の考えと異なるものを条件反射的に拒絶することは社会生活においては孤立を招くおそれがあります。
現代社会は、当時には想像もできなかっただろう数と規模のコミュニティが存在し
それぞれの中に「当たり前」が存在しています。
また、目まぐるしく変化する情勢の中で、昨日までの考え方が通用しないことも珍しくない
現代社会においては、やはり思考し続けることが重要なのだと思います。
様々なコミュニティにおける「当たり前」を理解し、尊重しつつ
「自分」というブレない軸を持った人間になることが出来るよう
多様な考えに触れながらも、思考をし続けていきたいと思います。

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