愛される商品と愛される企業

「うまい棒」の値上げが話題になった。
これまで1本12円だったものを、10月からは15円に値上げされる。
元々は1979年の発売から2022年までは1本10円を維持し販売してきた。
実に42年もの間、同じ価格を維持されてきたことに驚きを隠せない。

値上げが相次ぐ状況に消費者も疲弊する中、
うまい棒の値上げは比較的好印象で受け入れられたようだ。
値上げ時の公式サイトのお知らせでも値上げの明確な理由と背景が説明されており、
誠実な内容だったことも好印象に繋がっている。

うまい棒同様に、値上げを消費者に快く受け入れられたのが「ガリガリ君」らしい。
元々は1本60円で販売されていたが、2回目の値上げとして今年80円へと上がった。
値上げの時に、社長や社員が深くお辞儀して値上げをお詫びしている謝罪広告を出しており、
その時の内容が強く印象に残っている。

いずれも消費者からは値上げを好印象に受け取ってもらえた企業であるが、
共通していることは、以下の2点にありそうだ。
1)小学生でも手に届く価格であったことから、皆が小さな頃から親しみがあり身近な存在であること
2)値上げを決意するまでの企業努力が感じられ、むしろ応援したくなる誠実な姿勢が伝わっていること

上記2社のブランドはいずれも低価格帯であることから多少の値上げも
快く受け入れられたという背景もあるだろう。
当社は食品を含む消費財業界に特化した人材紹介会社をさせていただいているからこそ、
私たちがリーズナブルな価格で購入できるのは、各企業の並々ならぬ努力あってこそだと知っている。
ただ、消費者にどう見えているか、どう伝わっているかという点では違いがあるかもしれない。

原料高騰しているこのご時世なのでお察しくださいと値上げを告知されるよりは、
何とかここまで耐えてきましたが値上げもやむを得ずと告知された方が誠実さを感じる。
表現の仕方だけではなく、今まで耐えて頑張ってきた過程も知ってもらっているからこそ、
信頼され認められているのではないか。
これまでいかに消費者と誠実に向き合ってきたかという、
信頼の積み重ねによって伝わり方が異なってくるということだ。

それは私たち一人一人のコミュニケーションでも同じことが言える。
仕事の関係者だけではなく身の回りの家族も含め、相手と誠実に向き合えているだろうか。
自己の利益ではなく利他の心を持って行動できているだろうか。
日々の姿勢や言動が信頼の積み重ねになると思い、改めて自分自身を振り返りたいと思う。

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