AIの世界。
先日、米系ITアドバイザリー企業であるガートナージャパン株式会社が公表した、
「今後5年以内に営業業務の60%が生成AI技術によって置き換えられる」と
予測した記事を目にした。
ガートナーの予測では、これまでは売り手が自ら様々なデータソースを分析・検証して、
戦術・戦略を考えていた。しかし今後は、生成AIにより、社内外のデータソースを組み合わせ、
複雑なプロセスを自動化することができるようになるため、営業組織のリーダーは、
より深いインサイトに基づく新しい意思決定が可能になるということだった。
つまり、極端に言ってしまうと、様々な分析によるターゲットリストの作成や
アプローチのタイミング、各顧客の課題抽出、その課題解決のための
ソリューション提案内容も全てAIが考えてくれるようになる日も近いということだ。
しかし、AIに指示されたことを指示通り実行するだけ、
言い換えれば、「理屈だけ」で売れるものなのだろうか?
営業として非常に重要な「伝える力」の価値をどう位置付けるのか。
当然、“顎が立つ”だけの営業が通用しないというのは、もはや定説。
「誰に」、「何を」、「どのように」伝えるか、
それぞれに関わる多くの情報や背景全てを踏まえて、
伝え方を考えなければその言葉は誰にも届かないし、響かない。
この思考のプロセスこそが、仕事の質に繋がる部分ではないだろうか。
どんなにAIがお膳立てしてくれようと、
AIが何故その方法を提示したかの背景を理解できないと、
ただ単に「指示されたことをこなすだけの人」に成り下がる。
AIに使われるのか、使いこなすのか。
処し方の解を求める中で、思考力がある人とない人の差が明確となり、
さらに「できる人」と「できない人」の二極化は進むだろう。
AIの台頭に限らず、思考しない人たちの掃討とも呼べる現象は、
組織における人員削減やキャリアの停滞という形で既に始まってしまっている。
遅すぎることはない。
今からでも、自らの頭で考え、行動することに意識を置くことだ。
会社や上司から言われたからその仕事をするのではなく、
その仕事の目的は何か、どのような背景があるのか。
そのために本来すべきことは何か、そしてどう動くべきか。
思考する集団が享受する発展的なAIの世界は、
きっと、便利で豊かな世界であると確信している。

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