固定観念

人は誰しも、生い立ちや置かれている立場により、様々な価値観を持っており、
その価値観は人生経験を積んだうえで形成されるものなので十人十色である。
また、自分を支える信念になることもあれば、反対に、気付かないうちに成長を阻害する要因にもなり得る。

下記は、固定化された価値観に気付き、改善することで成果を上げることができた人の話である。

その方は、新卒で入社した会社でトップセールスとなり、最年少で役員に登用された方で
その後、30代で気心知れた仲間と会社を立ち上げ、自らが代表となった。

独立後間もなく、業績は右肩上がりにも関わらず、些細なことでメンバーと衝突を繰り返すようになり、
会社は解散の危機を迎えていた。皆が真剣に会社のことを考えているにも関わらずの出来事だった。

危機感を持ったその代表は、先輩経営者の方たちに相談したところ、
『自分が何とかしなくてはいけない』という考えに囚われているのではないかと指摘されたそうだ。
自分では全く意識していなかったが、知らず知らずのうちに、仲間の意見を聞くこともなく、
自分の立てたプランで押し進めていたこと。
悪気無くではあるが、マウントを取るコミュニケーションをしていたことに気付かされたそうだ。

会議で、全社員に向けて
『今まで、皆の意見取り入れているつもりだったけど、それはつもりであって、
「全部自分で決めないといけない」という凝り固まった考えがあり、自分の案を強引に通していた。
本当に申し訳なかった。まだまだ、経営者として勉強しないといけないことは沢山あるけど、
このメンバーでいい組織つくりたい想いは変わらない。改めて力を貸してほしい。』

それを聞いたメンバーは、代表の明らかな変化と想いを受け、会社を立ち上げた時より団結し、
何でも腹を割って意見を言い合えるような組織となり、数年前に上場を遂げた。

代表が、認知していなかった固定観念に気づき改善した結果、
メンバーにもそれが波及し、個の力だけでは成し遂げられない成果を上げたのだ。

人は誰しも、これまでの生い立ち、人生経験、時には立場によって、
何の疑いもなく持っている価値観があり、そこからついしてしまいがちな行動というものがある。
今一度、自分がついしてしまいがちなことや、凝り固まった観念が無いか、
自分自身を見つめ直してみようと思う。

コメント