ストップウォッチをつかう

「時は金なり」とベンジャミン・フランクリンは言ったが、時間の価値はそんなものでは済まされないのであって、
「時は命なり」が正確なところだ、というのが、友人と私の共通の意見だ。

ところがつい時間が無限にあるかのように錯覚してしまい、時間を無駄に使ってしまう。
結果として、やろうと思っていたのにやらないことが、細かいことと大きいことの双方でたまっていく。
このままでは何もできない人生、死ぬ前に後悔する人生を送るのではないかと恐れていた。

そんな私に道を切り拓いてくれた道具がある。

ストップウォッチだ。

私は仕事で、英語の資格試験TOEICをお教えすることがあるが、この問題は事実上情報処理試験のため、
普通に解いてもらうと、ほとんどの生徒さんが時間内に解き終わらない。

そこで活躍するのがストップウォッチだ。

時間を切られることで、生徒さんは時間を意識し始める。最初解き終わらなかった問題が、
次第に解き終わるようになっていく。

実際、『声に出して読みたい日本語』の齋藤孝さんはこう言っている。
「教師の中には時間が無限にあるように考えている人がいる。たとえば授業でストップウォッチを遣う教師がいかに少ないことか。この作業は20秒で、次の発表は15秒以内で、と区切って授業を進めれば、
同じ1時間でも密度が濃くなるし、生徒にも緊張感が生まれる。教師自身がまず時間の管理者となることです。」
(「週刊ダイヤモンド」2011年6月18日号、p.52)

私も、家でする作業のいろんなことにタイマーを取り入れてみると、断然はかどるようになり、
小気味良い感覚を楽しんでいる。この原稿もタイマーを使って書いている。
時間を形として外に表したツールであるストップウォッチで、時間を無駄なく活用することも時には、
意識したいものである。

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