おひとりさま

今年も「あっという間だったな」と感じる季節がやってきた。
お正月も含めた年末年始のお休みが待ち遠しくとも、クリスマスも忘れるわけにはいかない。
12月になると、街は華やかなイルミネーションで彩られ、ジョンレノンのハッピー・クリスマスが流れる。
街はどこかしら、おしゃれな男女が行き交い聖夜の訪れを感じさせる。
これらはムードを高める素晴らしい演出で胸も高鳴る。

しかし近年、クリスマスというイベントは誰かと楽しむものではなくなっているのかもしれない。
統計によると、クリスマスを家族・パートナーと過ごす人は年々減少しており、
一人で過ごすための「おひとりさま」用ケーキ等も人気があるとのこと。

「おひとりさま」という言葉は、2000年前後から耳にするようになった。
もともとは女性が一人で趣味や旅行を楽しむ意味で使われていたようだが、
次第に男女問わず、「一人で行動するライフスタイル」を指す言葉として
使われるようになった。

様々な場面・場所で「おひとりさま」に心地よい価値を提供するサービス、施設が増えている。
「ひとり焼肉」や「ひとりカラオケ専門店」など、
元々2人以上で楽しむことが当たり前だった「焼肉」や「カラオケ」が、ひとりで楽しめる。
バンドのライブもひとりで行って盛り上がり、
アウトドアでも、ソロキャンプのように好きな時に好きな場所で一人を楽しむ人が増えた。

かつては大人数で楽しんでいたイベント等も、今やひとりが楽しい、
むしろ、ひとりの方が良いという時代になってきたのかもしれない。
「おひとりさま」と言われていた現象も、今では自虐感はなくなり、
敢えてひとりで何かをする過ごし方がトレンドとなっているようにさえ感じる。

コロナウイルスの流行前は、漠然と人とつながっていたいという欲求と、
SNS等の浸透により他人と常につながっている状態が当たり前になっていた。
それが突如、コロナによって他人と分断・隔離され、
否応なしにひとり時間が増え、その価値や心地よさに気づいてしまった。

日本社会において、”おひとりさま”というライフスタイルは、更に増えていくかも知れない。
多くの日本人が日常生活において、グループの中で演じる自分にストレスを感じている。
“おひとりさま”は個人が自由に自身の興味に没頭する事ができ、気兼ねなく有意義な
時間を過ごすことが出来るからだ。

先日、20代の若者で異性との交際経験が無い人が50%に迫るとのニュースを見た。
少子化対策は子育て支援に目が向きがちだが、出会い支援こそ大事なのかも知れない。
ひとり時間も新たなライフスタイルとしつつ、人とつながる時間との双方を
ケースバイケースで使い分け、どちらも大事にしてもらいたいと
おひとり様のオフィスでふと考えた。メリークリスマス

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