キリンホールディングスが、既存のAIを活用した商品開発支援システムに、
「目指す味にするために必要な原材料と工程条件を導き出すような機能」を追加したという記事を目にした。
このAI機能によって、経験の浅い技術者でも熟練した職人のように目標の味を実現できるようになり、
より効率的に商品開発が可能になるということだ。
研究開発/商品開発担当の採用の際に、採用企業が求める人物像の1つとして、
「根気強さ」があげられる。
目指す商品にするために、微妙な配合、モノによってグラムではなく、マイクロ単位で
配合を微調整しながら何度も何度も試作を繰り返して
より良いものを目指す妥協しない姿勢が大切だからだ。
しかし、キリンのようなシステムがあたり前の世の中になっていくとしたら、
AIに指示された配合をすれば良いのだから、開発担当者は自ら思考する・試行錯誤する必要がなくなり、
さらに、誰でも作れるのであれば、開発担当者は数名で良いということになるかもしれない、等と
悲観的な見方も出来る。一方で、経営的な視点で考えたら、
商品開発のスピードが驚くほど速くなり、新商品を次々につくることができるようになる。
さらに、スケールアップのテストの為に工場を止めたりしなくても良くなる等、
業務効率化が進み、経営的にはメリットでしかない。
これがメーカーでの商品開発のあたり前となっていくのであれば、
悲観的になって時代や環境のせいにするのではなく、自らに危機感を覚え、
その中で、必要とされ続ける人となるために、いかに自分の価値を高められるか、
その為に必要なことは何かと考えられる力、行動に移す力が必要である。
例えば、効率化したことで生み出すことが出来た「時間」を使って、
通常の業務分野とは違う、自己研究テーマをみつけて新しいモノづくりへの挑戦をしたり、
マーケティングについて学んだり、ビッグデータを活用して更なる「おいしさ」を研究するために
Pythonを学んだり等、個人テーマとして挑戦できることはたくさんあるのかもしれない。
世の中の変化に気づき、次のステップを踏み出せる人が、
世の中から必要とされ続ける人ということなのだろう。
自らも、現状に満足するのではなく、世の中の変化を感じ取り、
働く人たちに世の中や会社が求めていることが何かを転職希望者の方々に伝えていくことで、
「働く」ということについての、意識のアップデートに貢献していきたいと思う。

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