アナログを以ってデジタルで生き残る

6月となり通勤風景は以前の様子に戻りつつある。
しかし、連日のリストラや倒産のニュースを目にすると、
本当のダメージはここから顕在化する事を思い知らされる。
進行形の非常事態が「新常態」として定着する厳しい世の中で、
個人も、会社も何とかして生き残らなければならない。

ところで、ふとコロナ以前のことを思い出してみると、
当時のニュースの中心にいたのは「AI」だったと思う。
一つの論調として、AIが飛躍的に賢くなると
工場はもちろん、街のいたるところで省人化が進み、
様々な仕事が姿を消す…というものがあった。
求職者の方から「どんな仕事なら大丈夫ですか?」という
ご相談が増えたのをよく覚えている。
そう考えると、キャリア構築という文脈では、
テクノロジーの発展もコロナショック禍も
「未知なる脅威に襲われる不安」という意味では近い。

デジタル改革によって、安全性を保ちながら
より効率的に物事を進められるのは素晴らしいことだ。
しかし、デジタルな世界での「人間関係」においても
効率性を追求し工数を減らすことが是かと問われれば、
それは違うと思う。
むしろ、同じ空間を共有する必然性がなくなることで、
人は他人を簡単に信頼することが難しくなる。
大きなストレスや不信感を抱えたチームは機能しないので、
これまで以上に、他者を慮る気持ちを欲するのではないか。

デジタル時代を逆行するような発想だが、
あえて組織を支配する「空気」を思いっきり、
読んでみてはどうかと思う。
これは、同調を奨励しているのではなく、
他者の状態に意識を向けるということだ。
Webカメラ越しでも、その本人すら気付いていない、
言葉や印象のちょっとした変化に気づけること。
そして、ただ思うだけ、感じるだけではなく、
その空気感を相手にアウトプットして可視化すること。
こんな極アナログなスキルが、意外とデジタル時代に
生き残るための強力な武器になる気がしている。

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