JOKER -ジョーカー-

※多少ネタバレありなのでご注意ください。

最近始めたことなのですが、映画鑑賞や美術鑑賞・舞台鑑賞など、
1か月に一度は様々な芸術に触れる機会を持つようにしています。
ただ鑑賞するだけでは「素晴らしかった~!」で終わってしまうので、
学んだことや感じたことなど、ブログでアウトプットさせていただきます。
第一弾は、アカデミー賞も確実と言われる話題作、映画「ジョーカー」です。

本作はR指定なのですが、その内容から上映にあたっては
ロサンゼルス市警やFBIが警戒態勢を取るほど、
色々な意味で、様々な人の心を揺さぶる作品であると思います。

まず私が絶賛したいのは、ジョーカー役を演じた、
ホアキン・フェニックスの演技です。圧巻です。
ジョーカーのあらゆる不安定さ、狂気を細部にわたって表現しています。
貧困ゆえに肋骨や肩が浮き出るほどに痩せた男、
「失笑恐怖症」ゆえの悲しみ・絶望が混じる笑い、、、。
プロフェッショナルとはこういうことを言うんだろうなと思い、尊敬しました。
ホアキン・フェニックスの演技を見るだけでも価値があると思います。

「ジョーカー」について初耳の方のために、ザクっとあらすじをお伝えすると、
バットマンの宿敵で有名なジョーカーのオリジンを描く物語です。
コメディアンを目指しピエロメイクの大道芸人として、
病弱な母親を支える心優しい面を持つ「アーサー」が、
徐々に狂気の道化「ジョーカー」へと変貌していきます。
社会的な背景も重要なのですが、描かれる時代は経済格差が激しく、
チャップリンの喜劇(非常に象徴的です)を劇場でみながら大笑いする富裕層と、
ゴミ清掃会社のストライキによってゴミが街中に溢れ、
職も金もなく、薄暗く不気味な空気に蔽われるゴッサムシティ。
アーサーは社会の片隅のさらに片隅に追いやられているような存在です。

さて、映画の感想ですが、何と表現したらいいのか非常に難しいです。
本作を観てどう感じるのかは、観客一人ひとりに問われているように私は感じました。

単純に「社会が悪を生んだ」ととらえる見方もあると思いますが、
後半の重要なシーンで、ジョーカーが『善悪は主観によって決まる。
笑いも同じだ。』と真顔で言うのですが、
ハッとさせられ、ここに全てがあるように思いました。
悪を生んだ社会が悪いという考えや、逆に悪を正当化してはいけないという考えだろうが、
この作品ではそこの社会性についてはあまり重要ではないのだと思います。
むしろ、私自身が思う正義とは何か、幸福とは何か、私の主観を問われているように感じました。

今はインターネットやSNSなどで真偽は不明な情報や他人の意見が
溢れる中で私たちは日々生活しています。情報の中に埋もれ流されて
生きているのかもしれません。または、傍観者になりすぎていることもあると思います。
そんな時代だからこそ、自分は何を考える?何を思う?と自分の考えを持ち、
自分の正しいと思う軸を持つことの大切さを考えさせられました。
誰かの悲劇の傍観者になっていないだろうか、と自分自身が問われた気持ちになりました。

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