芸人という人材

「闇営業」という言葉が話題になっている。
元来は、反社会勢力との付き合い云々ではなく、
事務所を通さず直接仕事を請け負う事をさす。
ダイレクトに請け負えば、中間手数料を取られないので、
ついつい手を出してしまうという事らしい。

ネットなどでは、サラリーマンの副業規制の文脈で
この話が議論される事も多いようだが、
個人的には、会社のお金を使い込む横領だったり、
取引先からの利益供与などに近いと感じる。
その意味で十分に悪質な行為で、相応のペナルティも仕方ないだろう。

それも含め、芸人を職業として捉えると、
中々割に合わない仕事だと思う。
そもそも人を笑わせる事が難しいのに、
それをお金に変える事がさらに難しいからだ。
昔、大御所のお笑い芸人が
「人を笑わせるのは泣かせる事の数倍難しい」と言っていた様に、
本来、職業選択に相当な覚悟が必要な仕事のはずだ。

少しばかり体力があればスポーツ選手になれるわけではない。
ちょっと絵がうまければデザイナーになれれるわけではない。
なんとなく説得力があれば弁護士になれるわけでもない。
そして、クラスの人気者が必ずしも売れる芸人になれるわけではない。
ほとんどの人は、どこかで悟って別の仕事を選択している。
夢の無い話だが、人によっては早い段階で、
進む道の見極めをしたほうが幸せな場合も多い(社会にとっても)。

そう考えると、とにかく自分の好きや得技に
磨きをかけていく事に没頭するのではなく、
どうやってそれを応用するか、何に結び付けていくかという方向に
もっと知恵を使った方が、最終的に全体の幸福度が上がるのかもしれない。

その意味で、人を笑わせる能力というのは、
どんな業界、どんな職種でも必ず応用が効く強いスキルだと思う。
大手事務所には6000人くらいの芸人さんが所属しており、
まともに稼げているのはほんの数%らしい。
「笑い」の強いスキルを持った有望な人材として捉えると、
実にもったいない機会損失の様に思えてきた。

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