「働き方改革と意識改革」

先日、いつも通っているスポーツジムのトレーナーと、「働く意識」についての話になった。
ひたすら腹筋しながらする話題ではないように思うが、そういう流れになってしまった。

そのトレーナー曰く、スポーツトレーナーと老舗料亭の修業期間は似ていると言っていた。
師匠の考え方にもよると思うが、見習い期間中は「見て覚えろ」という考え方らしく、
それが出来ない人は自ら去っていく。ここである程度のふるいにかけられるそうだ。
言い換えれば、懇切丁寧にやり方を教えてくれるわけではなく、見てそれでどのように自分のものにするか、
その人の意欲・意識、努力を含めて素養を試されているのかもしれない。

4月から労働基準法の改正いわゆる働き方改革関連法が施行される。
改正項目の1つに残業時間の上限があり、残業が削減されることになる。
働く私たちは、限られた時間の中で現状以上の成果を生むことを期待されている。
それを実現させるために、働く時間や場所、または人事制度や評価制度を変えることが先行しがちだが、
システムや制度の導入はハード面にすぎず、一番重要なことはソフト面である、従業員の意識改革のように思う。

勤務場所を含め働き方が自由になるということは、自ら色々なことを考え・判断していくことが増えることになる。
マニュアルがあるわけでもないし、上司があれやこれやと細かく指示してくれるわけではないから、
自ら思考し行動することが求められる。
主体的に仕事ができず、言われたことだけをやっておけば良いと思っている社員は必ず淘汰されていく。
先の修業期間中のトレーナーや料理人のように、一人前になるために必死になれる人と自分を諦める人、
これまでの仕事の考え方ややり方を意識的に変え、自らの価値を創出することができる人と、変われない人。
変わらない人。どこの世界も同じなのだ。

先日、大手都市銀行が年功色を薄め、成果主義強化の要素を含めた賃金体系を導入した。
日本の賃金制度が大きく変わることとなりそうだ。
今回の働き方改革は、組織・人を変えることが出来るチャンスともとらえることが出来る。
日ごろから意識改革が必要だと思っていても行動を変えていくことは難しい。
しかし、限られた時間の中で成果を出す必要性が出たとき、このままの自分では生き残れないと気が付いたとき、
「何かを変えなければ」と気付くチャンスになる。
意識改革の目的が明確になり、具体的にどのような意識を改める必要があるのか、
そしてそのための行動改革にもつなげていくことができるかもしれません。

日本もより「働く」ということにシビアになっていく時代だからこそ、
私たちが伝え続けている「働き方の提案」を通して、自己認識や行動の変化を促し、
意識改革後の「自らの価値を創出できる人」をより輩出していけるよう努めていきたい。

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