ストラディバリウスの価値

相場価値として10億を超えるとされるバイオリンの世界的名器、
「ストラディバリウス」の音色が、実は楽器屋で買える市販品とほとんど差が無かった――
そんな研究結果が発表された。

さすがに10億円となるとイメージがつかない額だが、何せ、相手は音である。
好きな人は好きでいいじゃない!と言う感じではある。
そもそも、何故このバイオリンが欲しいかと言えば、音の違いというよりは、
芸術品として所有する事自体に意味があるという側面が強いのだろう。
いわゆるブランドを身にまとう、という文脈で考えればわかりやすい。
こうすると、10億円がいささかチープな印象になってしまうのだが、
しかし、何かの力を借りるというのは決して悪い事ではないと思う。

例えば、昔の武家に生まれた男の子は元服する時に刀を与えられたらしい。
そこを起点に、子供から大人ひいては立派な武士に育っていくという考え方があり、
まさしく、モノを持つことで精神もそれに見合う形になるという一例だ。
名器を手にしたことの緊張感で音楽に邁進するなら、それはそれで立派だと思う。

会社でも、肩書やポジションを得た際に、その高揚感や責任感を大いに利用して、
しかるべき存在になれるかが働く者としての価値を表すことになる。
だから、ある意味ブランドだとか他人のふんどしも大いに結構で、
大事なのはその後、ということになる。
最終的に自分自身がブランドになってやるという気概がないと、
結局名前負けしたり、ライバルに足元をすくわれてしまうのだ。
バイオリンなどのモノと違って、肩書やステイタスを持つこと自体に
今の世の中はさほど意味がないのだ。

世界的に有名な彫刻家が創った希少素材のバットよりも、
イチローが素振りに使った用品店のバットが欲しい。
野球が好きな人間の心理はそういうものだと思う。
結局、物の価値はそれを持った人間によって決まるということだ。
部下から見て、自分も部長になってみたい、課長みたいになりたい、
と思われるような緊張感をもって、仕事ができているだろうか?

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