祖父から孫へのお年玉

私の父は今年で卒寿を迎えます。
何かあるたびに「老兵はそろそろ」と言ってはおりますが、
母と二人そろって健康そのもの。白寿も迎えることとなると思います。
普段は二人きりの静かな実家ですが、お正月に家族が集まると、
子が3人、孫が5人もいるので一年で最も賑やかな日になります。
今年も美味しいおせち料理と酒に舌鼓を打ち、楽しい一日を過ごしました。
大人たちがいい感じで仕上がってきた頃に、
子供たちにとってのメインイベント「お年玉」の時間がやってきました。

私も“あげる側”となって20数年。
この時間は大人から子どもへの幸せのお裾分けのようで、
なんだか心が温かくなります。
最近では「お年玉」もキャッシュレスの時代に突入したと耳にしますが、
私はやはりポチ袋に現金を入れて渡すほうが風情があって好きです。
今年も手渡しでお年玉を渡しました。

父が孫たちに配る番になると、何やらゴソゴソと動き始めました。
写真のアルバムの様なファイルを5冊取り出し、
じゃんけんに勝った順に一冊ずつ渡し始めたのです。
それぞれのファイルを開くと、中には海外の珍しいコイン、
記念硬貨や記念切手、一銭札などの古い紙幣や古銭。
几帳面な父らしくきれいにファイリングされていました。

いつから収集を始めていたのか、少なくとも私が子どもの頃には
見せてもらったことはなかったものでした。
きっと、宝物としてコツコツ集めていたのでしょう。
父は「天国には持っていけないからな。終活だよ」と少し寂しそうに
言いながら、孫たちに自分の宝物をお年玉としてお裾分けしたのです。
子供たちは、初めて目にする記念切手や記念硬貨に
目をキラキラさせながら眺めていました。
私たちも含めてしばらくの間、「元・父の宝物」を見ながら
歴史を感じたりして楽しませてもらいました。

デジタルが発達したおかげで生活は便利になりました。
交通の支払いを電子マネーで済ませるような時代でも、
こうした“手で触れる喜び”や“受け取る感動”は、やはり特別だと感じました。
これが孫の孫の代まで続いていったらきっと楽しいだろうなと思った
今年の正月の出来事でした。

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