役割

誰もが一目置く知人が取引先におり、社内外で良好な人間関係を保っておられる。
周囲が味方なので、よく意見を求められ、ご自分からも頼みごとがしやすく、
当然、仕事も円滑に進んでいる模様だ。

私は、誰とでも人付き合いがうまくできる方ではないので、
人間関係を良くするために、どんなことを気を付けておられるか聞いてみた。
すると、こんな答えが返ってきた。

「昔は、人間関係が今ほどうまく行っていませんでした。
理由はいろいろありますが、一つは、周囲の人に期待をしすぎていたからだと思います。
例えば、社会人になって最初の上司は、『見て盗んで覚えろ』というタイプでした。
『手取り足取り細かく教えてくれたらいいのに』と思うことがよくありましたが、
当然そんな願いはかないません。それが不満になっていました。」

どんなふうに人間関係が改善したのか聞くと、以下の答えが返ってきた。

「『この人に○○してほしい』と期待することをやめ、『自分がこの人に何をできるか』と考えるようにしたんです。すると、いろいろできることがあり、自分も充実し、上司も喜んでくれるようになりました。」

「さらに、『人にはそれぞれ役割があり、細かく教えてくれるのは、この人の役割でない』と思ったんです。
部下への教育ひとつとっても、『盗んで覚えろ』というタイプの方もいれば、
細かく教えてくれるタイプの方もいます。
『盗んで覚えろ』という方に対して『細かく教えてほしい』と期待するのは、
ラーメンを食べて『甘くない』と不満を抱くようなものだと思ったのです。
ラーメンはそもそも塩辛いものですから、『甘くない』と思うこと自体、間違っています。
そうすると、いろんな人がそれぞれの役割を果たしてくれているのだと思えて、
自然に感謝が湧いてくるようになりました。」

上記の話を伺って、職場を見渡してみると、
いろんな人たちがそれぞれご自分の役割を果たしてくれていることに気が付いた。

黙々と真面目に働く背中を見せてくれる人。
嫌われ役を引き受けて、叱ってくれる人。
ほめてくれる人。笑わせてくれる人。

その人たちに私はどんな貢献ができるんだろう?

そんなふうに考えると、仕事をするのがいつもより楽しくなった。

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