フォロワーシップ

書店のビジネス書の棚には昔からリーダーシップに関する本が多いが、
リーダーシップの対義語で、フォロワーシップという言葉があるそうだ。
フォロワーというのはtwitterの用語として聞くことが多いが、
元々は、付き従う人というのが語源で、そこから派生して、リーダーを補佐する人を指す。
フォロワーシップは、組織を支える上で求められる能力を指す。

緊急時や短期的な成果が求められる状況では、
トップダウンのリーダーシップが力を発揮するが(カリスマ指導者が典型例)、
これには限界がある。
個々の自主性がなかなか育まれないので、
強いリーダーがいないと成立しない組織のままになってしまいがちだからだ。
時代の変化でグローバル化が進み、新しい取り組みが昔よりも早く
陳腐化してしまうので、リーダー一人の知恵に限界がある、という理由も大きい。
そこで、フォロワーシップが注目されている。
例えば、世界最高峰の少数精鋭チームと言われるNASAでは、
宇宙飛行士に求められる資質の一つがフォロワーシップだと考えている。
ある名門の大学ラグビー部でも、フォロワーシップの強化により、
優勝などの成果が出たという。

では、フォロワーシップとはどのようなものなのだろうか。
付き従う人という語源から、受け身のような印象を受けるが、実際はそうではない。
フォロワーシップとは次のようなものだ。

組織から与えられた義務や責任を果たし、組織に貢献するという強い思い。
組織のために何ができるか自発的に考え、行動すること。
リーダーの立場になって考え、相手に敬意を払い、人に配慮し、
組織全体がスムーズに行くように行動すること。
フォロワー同士(会社全体という観点で言うと社員同士)で、
互いの成長のためにアドバイスしあうこと。
顧客や関わる人のことを考え、一見小さい仕事にも心を込めること。
考えた上で、チャレンジをすること。

いろいろ挙げたが、ここでは、成果や実績が求められているわけではなく、
大事なのは姿勢や態度だ。

実はこれが、採用面接などで第一に求められることでもある。
特に人気のある採用企業だと、優秀な人材の応募が多く集まるので、
「○○業界で△△業務の経験が□□年」といった部分では差がつきにくい。
人間性が選考の上で大きい比重を占める。

先程、フォロワーシップという聞きなれない言葉を使ったが、
何も特別なことが求められるわけではない。
先程列挙したフォロワーシップの例は「それは大事だ」と誰もが納得できるものだろう。

このようなことを普段から実行されている方も多いと思うが、
職場でより実践すると、普段よりも働きやすくなっていることに気づく。
実際、私もそうだった。
転職活動においては、職務経歴書でそういった部分を表現すると、
書類選考も面接もよりスムーズに進み、ご本人にとってより有利な展開になる。
弊社のキャリアコンサルティングでは、
そういった部分のアドバイスも差し上げるよう努めている。

コメント